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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科64巻7号

2010年07月発行

雑誌目次

今月の臨床 異所性妊娠

臨床像の変遷―最近の傾向

著者: 増﨑英明

ページ範囲:P.1060 - P.1065

はじめに

 日本産科婦人科学会雑誌2009年3月号に,「ectopic pregnancy子宮外妊娠の日本語訳について」という委員会提案が掲載されている.そこには東西の多くの教科書から本症の用語に関する定義や疑義や意見が収集されており,欧米において「ectopic(異所性)」と「extrauterine(子宮外)」とが区別なく使用されていた時代から,疾患概念が明らかになるにつれ,ectopic pregnancyの用語が定着していった現在までの経緯を述べ,今のわが国においても学術用語としての「子宮外妊娠」を「異所性妊娠」に変更する必要があると解説している.すなわち「間質部妊娠」および「頸管妊娠」については着床部位が子宮内(正所性)でも子宮外でもなく,むしろ異所性と表現すべきであって「子宮外妊娠」なる用語が不適切であると結論している(図1)1)

 本提案は会員の意見を求めたうえで,日本産科婦人科学会の統一見解として承認されたが,これらの議論のなかにも,「異所性妊娠」という疾患の時代とともに変化してきた臨床像が見え隠れしている.以前は大量出血のためショック状態で搬送されていた本症が,主に画像診断や内分泌学的精査によって早期診断され,着床部位についても同定できる例が増えたことから生じた議論であるともいえる.ここでは異所性妊娠の最近の臨床像の変化について解説する.

検査と診断の手順

著者: 町田静生 ,   藤原寛行 ,   松原茂樹

ページ範囲:P.1066 - P.1069

はじめに

 異所性妊娠は全妊娠のおよそ0.5~1%程度に発症すると報告されている.以前は破裂後に緊急手術が行われることが多かったが,近年経腟エコーの発達などにより早期診断が可能となった.

 異所性妊娠のうち卵管膨大部妊娠がおよそ9割近くを占め,卵管峡部,間質部,卵巣妊娠が各数%,頸管妊娠,腹膜妊娠,帝王切開瘢痕部妊娠がおのおの1%以下と報告されている.

治療法の選択

1.腹腔鏡下手術の実際

著者: 明石祐史 ,   斎藤豪

ページ範囲:P.1071 - P.1075

はじめに

 異所性妊娠(子宮外妊娠)は種々の報告より全妊娠の1%程度に発生するとされる.不妊治療後には3.1%1)とその発生率が高く,なかでも生殖補助技術(assisted reproductive technology : ART)後には4~5%2)に発生するとされる.そのうち卵管妊娠は自然妊娠の98.3%,ART後の82.2%と異所性妊娠の多くを占め3),頸管妊娠,卵巣妊娠,腹膜妊娠例は稀である.近年,性感染症による卵管病変の増加,ARTの進歩などにより異所性妊娠は増加している.一方,高感度hCG検査薬の普及,経腟超音波断層法による診断技術の進歩によって,早期から異所性妊娠と診断し治療を行うことが可能となり,それに伴って破裂による出血性ショックを呈するような症例は減少し,腹腔鏡下手術,卵管保存治療,薬物化学療法といった治療法を選択する余地のある症例が増加した.また,産婦人科領域の腹腔鏡下手術の普及・進歩は著しく,異所性妊娠に対する手術療法では腹腔鏡下手術が第一選択となり得る症例が多い.本稿では主に卵管妊娠に対する腹腔鏡下手術について日本産科婦人科内視鏡学会ガイドラインや文献をもとに概説する.

 ※「ectopic pregnancy」の日本語訳として日本産婦人科学会用語委員会の見解に基づき,本稿では異所性妊娠という用語を用いる4)

2.卵管温存手術のメリット・デメリット

著者: 沖利通 ,   堂地勉

ページ範囲:P.1077 - P.1083

はじめに

 卵管妊娠の温存療法として,待機療法,メトトレキサート(methotrexate : MTX)療法,手術療法(腹腔鏡下卵管線状切開術,以下線状切開術)がある.本稿では,部位別の卵管妊娠の自然史について述べ,線状切開術を成功させるためのポイントを概説し,さらに,術後の短期的および長期的予後を述べ,卵管温存手術のメリットとデメリットを解説する.

3.薬物療法のメリット・デメリット

著者: 銘苅桂子 ,   青木陽一

ページ範囲:P.1085 - P.1089

はじめに

 異所性妊娠はfirst trimesterにおいて最も罹患率と死亡率の高い疾患である1).超音波診断装置の改良とhuman chorionic gonadotropin(hCG)検査により,そのほとんどは破裂前に診断されることから,薬物療法を考慮する機会が増えてきた.異所性妊娠をより早期に,適切に診断することは,薬物療法を成功させる最も重要な因子である.

 異所性妊娠に対する薬物療法としては,メトトレキサート(methotrexate : MTX),高浸透圧糖液,プロスタグランジン(prostaglandin)についての報告があるが,今回は,主に使用されるMTXについて述べる.

 MTXは葉酸代謝拮抗薬であり,DNA合成を阻害することで,絨毛細胞の増殖を抑制する.その機序は,MTXがジヒドロ葉酸レダクターゼと強固に結合し,ジヒドロ葉酸がテトラヒドロ葉酸へ還元されるのを阻害する結果,DNA合成を阻害するというものである.Tanakaら2)が,卵管間質部妊娠に対するMTX療法をはじめて報告してから,異所性妊娠に対する薬物療法は1980年代に確立し,広く受け入れられるようになってきた.Lopscombら3)のreviewによると,MTX療法の成功率は78~96%,治療後の卵管再疎通率は78%,子宮内妊娠率は65%,卵管妊娠を反復する率は13%と報告されている.しかしながら,日本においてMTXは保険適用外であるため,治療の原則は手術療法である.そのためその使用については十分なインフォームド・コンセントのもとで行う必要がある.

4.低hCG症例の取り扱い

著者: 篠原康一 ,   原田龍介 ,   若槻明彦

ページ範囲:P.1090 - P.1095

はじめに

 経腟超音波の性能の向上により,早期に異所性妊娠(子宮外妊娠)の診断が可能となったが,判断に迷う症例も依然多く存在する.その診断の補助にはhCG測定が有用だが,子宮内の妊娠であってもhCGが低い症例では経腟超音波でも胎嚢が確認できないこともあるため,異所性妊娠の診断に際しては慎重であるべきである.本稿ではhCG測定法,腹腔鏡下手術の適応,子宮内容除去術の要否,待機療法の可否,不妊治療中の異所性妊娠などについて述べる.

診断と治療の実際

1.卵管妊娠

著者: 笠松敦 ,   依岡寛和 ,   神崎秀陽

ページ範囲:P.1096 - P.1101

はじめに

 卵管妊娠を含む異所性妊娠は,高感度hCG検査薬と経腟超音波検査により早期での診断が可能となった.そのため臨床症状が顕在化する前から治療することが可能となり,手術時の出血量なども激減してきている.最近では卵管妊娠が未破裂で診断されることも稀ではなく,腹腔鏡による卵管保存手術が広く行われるようになり,またメトトレキサート(methotrexate : MTX)などによる薬物療法も普及してきた.

2.間質部妊娠

著者: 鈴木聡 ,   添田周 ,   高橋秀憲 ,   藤森敬也

ページ範囲:P.1103 - P.11007

はじめに

 卵管間質部妊娠(以降間質部妊娠)は全卵管妊娠の約2~2.5%と比較的稀な疾患であるとされてきた.しかし,近年生殖補助医療技術(assisted reproductive technology : ART)の普及や性感染症(sexually transmitted diseases : STD)の増加に伴いその発生頻度は増加傾向にある.近年は経腟超音波診断装置の普及に伴い早期診断がなされ,治療も腹腔鏡下手術や薬物療法が主流となっている.ここでは自験例を呈示しながら,間質部妊娠の診断,治療,管理について述べる.

3.頸管妊娠

著者: 藤本晃久

ページ範囲:P.1108 - P.1111

疫 学

 子宮頸管妊娠の発症頻度は,異所性妊娠のうちの1%以下であり1),全妊娠の8,000~18,000例に1例といわれている2).受精卵が子宮頸管粘膜に着床することにより生ずるが,発症の関連因子として,過去の子宮内容除去術および帝王切開術の既往,骨盤内感染症の既往,ARTによる妊娠などが挙げられる3)

4.腹腔妊娠

著者: 市原三義 ,   三村貴志 ,   新城梓 ,   岡井崇

ページ範囲:P.1113 - P.1117

はじめに

 腹腔妊娠(abdominal pregnancy)は,受精卵が壁側腹膜および生殖器以外の腹腔内臓器(大網,脾臓,腸管,横隔膜など)の臓側腹膜に着床して発育したものと説明できる.産婦人科用語集・用語解説集では腹膜妊娠(peritoneal pregnancy)として,表1のように解説されている1).腹腔妊娠は,妊娠初期に診断治療されるものと,近年は稀ではあるが妊娠中期以降にはじめて診断されるものがあり,両者では臨床的取り扱いが異なる.

5.卵巣妊娠

著者: 前村俊満 ,   土屋雄彦 ,   内出一郎

ページ範囲:P.1118 - P.1121

はじめに

 近年,クラミジアなどの性感染症の低年齢化に伴い,子宮外妊娠の増加傾向が認められる.子宮外妊娠の好発部位といえば,卵管,特に膨大部妊娠が最も多いが,卵巣や腹膜妊娠なども報告されている.これら子宮外妊娠は診断が困難な場合も多い.今回,子宮外妊娠でも稀な卵巣妊娠について解説する.

6.帝切創部妊娠

著者: 堤誠司 ,   前川絢子 ,   倉智博久

ページ範囲:P.1122 - P.1125

はじめに

 帝切創部妊娠(cesarean scar pregnancy : CSP)は,異所性妊娠のなかでも稀であるとされており,その正確な頻度や自然経過は不明であるが,近年帝切率の上昇に伴い報告例が増加している.多くは妊娠第一三半期を越えると子宮破裂や大量出血に至る可能性が高いため,早期の診断,治療が必要とされる.当院にて過去1年半(2008~2009)の間に取り扱ったCSPは4例あり,3例に対しては腹式単純子宮全摘術を施行し,1例はメトトレキサート(methotrexate : MTX)投与により保存的治療を施行した.本稿では,これらの自験例(子宮全摘症例,子宮温存症例)を紹介し,CSPに対する問題点を概説する.

7.帝王切開創部妊娠を除く,子宮筋層内妊娠

著者: 小畑聡一朗 ,   茂田博行

ページ範囲:P.1126 - P.1129

はじめに

 異所性妊娠において子宮筋層内妊娠の頻度は低く,非常に稀な疾患である.異所性妊娠の頻度は卵管膨大部で最も高く(80%),卵管峡部(14%),間質部(3.0%),卵巣(1.5%)と続き,子宮筋層内妊娠の頻度は1%にも満たない1)

 子宮筋層内妊娠の成立の経路としては,(1)間質部からの侵入,(2)子宮の漿膜側からの侵入,(3)子宮の内膜側からの侵入の3通りが提唱されており2, 3),そのなかでも子宮内膜側からの侵入を唱える報告が最も多くみられる.また子宮筋層内妊娠の原因としては帝王切開術,子宮筋腫核出術,子宮内容除去術など,子宮筋層に医原的な侵襲を伴う操作が関係している可能性が指摘されている.そのなかでも帝王切開瘢痕部妊娠が報告例の多くを占めるが4),帝王切開術の既往のない子宮筋層内妊娠の報告例も散見される.最近では,その原因として上記に挙げた以外にIVF─ETの関与も指摘されており,実際その妊娠例の増加に伴い,IVF─ET妊娠のフォロー中に,同疾患を指摘される例も報告されている5)

 子宮筋層内妊娠においても,ほかの部位の子宮外妊娠と同様に,妊娠部位の破裂による出血性ショックを起こすなど,重篤な経過をたどる可能性が考えられるため,早期発見,治療が望まれる.本稿では帝王切開術の既往がない子宮筋層内妊娠の自験例を提示するとともに,子宮筋層内妊娠について考察する.

8.副角妊娠

著者: 松岡俊英 ,   南佐和子

ページ範囲:P.1130 - P.1133

はじめに

 副角子宮は片側のミュラー管の発育不全によって起こる子宮の形態異常である.副角妊娠は副角に妊卵が着床した状態であり,子宮外妊娠の1つとされる.妊娠経過中に副角が破裂し母体の生命も危ぶまれることにより早期の診断が必要である.

 図1にアメリカ不妊学会のミュラー管奇形の分類を示す.発生過程において左側ミュラー管の発育が右側よりも先行するため副角となるのは右側が多いといわれている1).副角のうち単角子宮主角への交通のあるものを交通性,ないものを非交通性,および副角に内腔を認めないものに分類される.単角子宮の74%に副角を認め,非交通性が70~90%である.副角に子宮内膜を組織学的に認める場合も多くみられる.Fedeleら2)は副角子宮を光学顕微鏡および電子顕微鏡で組織学的に検討したところ,子宮内膜の低形成,内膜と筋層の境界部の異常,弓状動脈の異常が認められたと報告した.このため,月経周期における子宮内膜の剥離は十分ではなく子宮瘤血腫を呈する割合は低いと報告されている.また,子宮内膜の低形成のため妊娠時には穿通胎盤となることが多いとされている.

9.内外同時妊娠

著者: 片寄治男 ,   栁田薫

ページ範囲:P.1134 - P.1137

はじめに

 子宮内外同時妊娠(heterotopic pregnancy)とは,子宮体部の着床(正所性)と異所性妊娠が同時に発生した状態をいう.発生頻度は自然妊娠の場合1~5万人に1人の発生率ときわめて稀であるが,複数個胚を移植することが多い体外受精(in vitro fertilization : IVF)を中心とした生殖補助医療技術(assisted reproductive technology : ART)あるいは排卵誘発療法後に成立した妊娠の場合,頻度が1%に著明に上昇する1).近年,わが国のARTの発展はその後の妊娠が異所性妊娠のみならず子宮内外同時妊娠の発生を助長している可能性も指摘される.

 本稿では子宮内外同時妊娠についてその概要を述べ,筆者らが経験した本症の2症例を呈示する.

連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・55

腹腔内出血を発症し,救命しえた血液型不適合合併穿通胎盤の1症例

著者: 山本浩之 ,   澤田菜津子 ,   中田好則

ページ範囲:P.1138 - P.1142

症 例

■妊娠歴

 39歳,2経妊・1経産.第一子は6年前に自然妊娠,経腟分娩.2008年自然流産,特別な処置は受けていないとのこと.同年12月より近医にて不妊治療開始.

■主訴

 妊娠28週0日,急激な右下腹部痛および季肋部痛.

■既往歴

 2004年3月,他院にて腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術.2009年3~4月に不妊治療の一環として内膜掻爬(詳細不明).ほかに,麻酔下にポリープ切除を受けたが,詳細は不明.心療内科通院歴があり,レキソタン®,マイスリー®を頓用.以前より不規則抗体(抗Jra抗体)陽性を指摘されている.

サクラの国のインドネシア・9

合格率1%

著者: 東梅久子

ページ範囲:P.1144 - P.1145

看護師国家試験合格発表

 3月26日,第99回看護師国家試験の合格者が発表された.

 国家公務員共済組合連合会の虎の門病院から厚生労働省の合格発表会場は目と鼻の先である.前日が当直であったこともあり,午後はフリーになっていたので出かけてみることにした.

病院めぐり

香川労災病院

著者: 川田昭徳

ページ範囲:P.1146 - P.1146

 香川労災病院の位置する丸亀市は,香川県の西側,瀬戸内海に面し温暖な気候に恵まれた人口11万人の地方都市です.市内に高層ビルやデパートなどはありませんが,おおらかでのんびりとした雰囲気があり,いたるところにうどん屋があって,どこも安くてうまいうどんを提供しています.

 当院は昭和31年に開設され,岡山大学の関連病院として昭和60年に婦人科も設置されました.現在では,診療科数16,病床数394床,常勤医師90名以上となり,香川県西部地域のセンター病院として,勤労者や地域住民の医療需要に応じて高度な医療を提供しております.当院の基本理念は,働く人々や地域の人々に安全で安心のよりよい医療と看護を提供するというもので,急性期医療や勤労医療などの推進をめざして,救急疾患,悪性疾患などを数多く取り扱っております.

Current Clinic

妊婦健康診査未受診妊婦の実像から対応策について考える

著者: 水主川純 ,   定月みゆき ,   五味淵秀人 ,   箕浦茂樹 ,   細川真一 ,   松下竹次

ページ範囲:P.1148 - P.1152

 未受診妊婦が社会的問題になっている.当院で診療した未受診妊婦33例の現状を分析したところ,経済的困窮が未受診の最多の理由であったが,その背景に「未入籍」「妊娠相手と音信不通」「住居不定」など,さまざまな問題があることがわかった.

 未受診という事態を回避するためには,思春期での母子保健に関する教育を充実させ,妊娠や出産に関して責任ある自己決定ができる環境を整備することが重要である.妊婦が妊婦健診の重要性を認識したうえで,医療機関と行政機関が連携し,母児の状態や社会背景に応じた支援や対応をすることが望まれる.

症例

腹腔鏡下付属器摘出術時に発見された腹腔内迷入IUDの1例

著者: 市川英俊 ,   中田俊之 ,   林博章

ページ範囲:P.1153 - P.1157

 避妊目的に挿入されるintrauterine device(IUD)は,稀に子宮穿孔を起こし,時に重篤な合併症を誘発する.文献的な報告は欧米で多く,わが国では少数である.

 今回,われわれは良性卵巣腫瘍に対する腹腔鏡下付属器摘出術時,迷入したIUDを偶然発見した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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編集後記

著者: 岡井崇

ページ範囲:P.1166 - P.1166

〈医療立国?〉

 「医療を今後の日本を支える産業に育てる新成長戦略を……」NHKの“ビジスポ”という番組で,元内科医師で現職はどこかの会社の経営者らしい男が滔々と話している.「海外の患者に医療を提供し,患者や付き添いの家族にお金を落としてもらおうという“メディカル・ツーリズム”への……」そうして外貨を稼ぐのが日本のためになるというのだ.あほらしさを通り越して腹立たしくさえ思えてきた.

 日本の医療が,制度としては改善すべき問題点を数多く抱えながらも,国民へのサービス(奉仕)度合いを押し並べて評価すれば,世界のトップレベルにあることは疑う余地のない事実である.たとえ生活保護者であっても,病院まで足を運び少しの待ち時間を辛抱するだけで,診療能力が高くしかも自分の気に入った医師に診てもらえるのだ.最高の技術を持った医師の手術も受けられる.日本ほど患者が差別されない国はない.それは,政策者の意図がどうであったかは別にして,医療から可能な限り経済論理を遠ざけた(少なくとも日本の医療提供者は,どこかの国と違い,採算より疾病の治療を大切にしている)結果なのだと私は思う.医療機器を製造するのは産業だが,医療そのものを産業と見做すのは上記の対極にある考え方で,その思想が罷り通れば,世界に誇る日本の国民平等医療は崩壊する.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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