文献詳細
文献概要
今月の臨床 異所性妊娠 診断と治療の実際
7.帝王切開創部妊娠を除く,子宮筋層内妊娠
著者: 小畑聡一朗1 茂田博行1
所属機関: 1横浜市立市民病院産婦人科
ページ範囲:P.1126 - P.1129
文献購入ページに移動はじめに
異所性妊娠において子宮筋層内妊娠の頻度は低く,非常に稀な疾患である.異所性妊娠の頻度は卵管膨大部で最も高く(80%),卵管峡部(14%),間質部(3.0%),卵巣(1.5%)と続き,子宮筋層内妊娠の頻度は1%にも満たない1).
子宮筋層内妊娠の成立の経路としては,(1)間質部からの侵入,(2)子宮の漿膜側からの侵入,(3)子宮の内膜側からの侵入の3通りが提唱されており2, 3),そのなかでも子宮内膜側からの侵入を唱える報告が最も多くみられる.また子宮筋層内妊娠の原因としては帝王切開術,子宮筋腫核出術,子宮内容除去術など,子宮筋層に医原的な侵襲を伴う操作が関係している可能性が指摘されている.そのなかでも帝王切開瘢痕部妊娠が報告例の多くを占めるが4),帝王切開術の既往のない子宮筋層内妊娠の報告例も散見される.最近では,その原因として上記に挙げた以外にIVF─ETの関与も指摘されており,実際その妊娠例の増加に伴い,IVF─ET妊娠のフォロー中に,同疾患を指摘される例も報告されている5).
子宮筋層内妊娠においても,ほかの部位の子宮外妊娠と同様に,妊娠部位の破裂による出血性ショックを起こすなど,重篤な経過をたどる可能性が考えられるため,早期発見,治療が望まれる.本稿では帝王切開術の既往がない子宮筋層内妊娠の自験例を提示するとともに,子宮筋層内妊娠について考察する.
異所性妊娠において子宮筋層内妊娠の頻度は低く,非常に稀な疾患である.異所性妊娠の頻度は卵管膨大部で最も高く(80%),卵管峡部(14%),間質部(3.0%),卵巣(1.5%)と続き,子宮筋層内妊娠の頻度は1%にも満たない1).
子宮筋層内妊娠の成立の経路としては,(1)間質部からの侵入,(2)子宮の漿膜側からの侵入,(3)子宮の内膜側からの侵入の3通りが提唱されており2, 3),そのなかでも子宮内膜側からの侵入を唱える報告が最も多くみられる.また子宮筋層内妊娠の原因としては帝王切開術,子宮筋腫核出術,子宮内容除去術など,子宮筋層に医原的な侵襲を伴う操作が関係している可能性が指摘されている.そのなかでも帝王切開瘢痕部妊娠が報告例の多くを占めるが4),帝王切開術の既往のない子宮筋層内妊娠の報告例も散見される.最近では,その原因として上記に挙げた以外にIVF─ETの関与も指摘されており,実際その妊娠例の増加に伴い,IVF─ET妊娠のフォロー中に,同疾患を指摘される例も報告されている5).
子宮筋層内妊娠においても,ほかの部位の子宮外妊娠と同様に,妊娠部位の破裂による出血性ショックを起こすなど,重篤な経過をたどる可能性が考えられるため,早期発見,治療が望まれる.本稿では帝王切開術の既往がない子宮筋層内妊娠の自験例を提示するとともに,子宮筋層内妊娠について考察する.
参考文献
1) 明楽重夫 : 子宮外妊娠.産婦の実際56 : 1804─1808,2007
2) Baniecki H : Zur frage der enstehung der intramuralen graviditat. Zentralbl Gynekol 72 : 162─166, 1950
3) Glaeswer E : Die interstielle Tubengraviditat. Arch Gynaek 93 : 100─102, 1911
4) McCowan L : Intramural Pregnancy. JAMA 192 : 141─143, 1965
5) Khalifa Y, Redgment CJ, Yazdani N, et al : Intramural pregnancy following difficult embryo transfer. Hum Reprod 9 : 2427─2430, 1994
6) Fait G, Goyert G, Sundarson A, et al : Intramural pregnancy with fetal survival : Case history and discussion of etiologic factors. Obstet Gynecol 70 : 472─474, 1987
7) Kadar N, Romero R : Observations on the log human chorionic gonadotropin-time relationship in early pregnancy and its practical implications. Am J Obstet Gynecol 157 : 73─78, 1987
8) Hamilton CJ, Legarth J, Jaroudi KA : Intramural pregnancy after in vitro fertilization and embryo transfer. Fertil Steril 57 : 215─217, 1992
9) 三澤俊哉,浅井光輿,東出香二 : MRIが早期確定診断に有用であった帝王切開瘢痕部妊娠の2例.日産婦誌 50 : 403─406,1998
10) Rotas MA, Haberman A, Levgur M : Cesarean scar ectopic pregnancies etiology, diagnosis, and management. Obstet Gynecol 107 : 1373─1381, 2006
掲載誌情報