文献詳細
今月の臨床 ここが問題─若年女性のやせ・肥満
若年女性のやせ・肥満と生殖機能異常
文献概要
はじめに
性成熟の過程は,第二次性徴の発現,初経の初来,排卵周期の確立,第二次性徴の完成へと移行する段階的な過程である.思春期女性の身体発育の向上に伴い,初経年齢の低年齢化,性機能の早熟化がみられる一方,社会・生活環境の変化による視床下部・下垂体・卵巣系の機能異常あるいは器質的疾患により月経不順や続発無月経となり,外来を受診する若年女性も少なくない.
月経不順,続発無月経,月経困難症などの月経異常が思春期に生じた際に必要な観点は,それが心身の正常な性成熟過程の個人差によるものなのか,病的なもので治療を要するものなのかを見分けることである.これは一般に困難とはいえ,的確に個々の病態を評価できるか否かは将来の妊孕性に関連しているため,軽視できない問題である1, 2).その際,下記に述べる治療の一方で,やせを中心とした身体・精神にかかるストレスの存在を早期に見つけ,可及的に修正することは,予防─治療─予後に至るスペクトラムのなかできわめて重要である1, 2).
性成熟の過程は,第二次性徴の発現,初経の初来,排卵周期の確立,第二次性徴の完成へと移行する段階的な過程である.思春期女性の身体発育の向上に伴い,初経年齢の低年齢化,性機能の早熟化がみられる一方,社会・生活環境の変化による視床下部・下垂体・卵巣系の機能異常あるいは器質的疾患により月経不順や続発無月経となり,外来を受診する若年女性も少なくない.
月経不順,続発無月経,月経困難症などの月経異常が思春期に生じた際に必要な観点は,それが心身の正常な性成熟過程の個人差によるものなのか,病的なもので治療を要するものなのかを見分けることである.これは一般に困難とはいえ,的確に個々の病態を評価できるか否かは将来の妊孕性に関連しているため,軽視できない問題である1, 2).その際,下記に述べる治療の一方で,やせを中心とした身体・精神にかかるストレスの存在を早期に見つけ,可及的に修正することは,予防─治療─予後に至るスペクトラムのなかできわめて重要である1, 2).
参考文献
1) The ESHRE Capri Workshop Group : Nutrition and reproduction in women. Hum Reprod Update 12 : 193─207, 2006
2) Warren MP : Clinical Review 77-Evaluation of secondary amenorrhea. J Clin Endocrinol Metab 81 : 437─442,1996
3) 中村幸雄,宮川勇生,石丸忠之,他 : 18歳以下の続発性無月経に関するアンケート調査─第1度無月経と第2度無月経の比較を中心として.日産婦誌51 : 755─761,1999
4) 広井正彦,中村幸雄,河上征治,他 : わが国思春期少女の体格,月経周期,体重変動,希望体重との相互関連について─アンケートによる.日産婦誌49 : 367─377,1997
5) 小林拓郎,柳沼 忞 : 月経異常のホルモン療法.産婦治療32 : 640─646,1976
6) 小原満雄,水沼英樹,安藤一道,他 : 無月経におけるLH pulse分泌と視床下部─下垂体機能の相関に関する研究.日産婦誌42 : 29─29,1990
7) 中村幸雄 : やせと性機能─体重減少性無月経.日産婦誌42 : N83─N86,1990
8) 安藤一道,伊吹令人 : 排卵障害の症状とその治療.新女性医学体系13,pp35─49,武谷雄二,他編,東京 : 中山書店,2000
9) 楢原久司 : 排卵現象のメカニズムとその異常.日産婦誌52 : N403─N406,2000
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