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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科65巻10号

2011年10月発行

文献概要

今月の臨床 子宮頸癌─予防と妊孕性温存のための治療戦略 予防戦略

4.HPVワクチンの医療経済学

著者: 福田敬1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科臨床疫学・経済学

ページ範囲:P.1221 - P.1224

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医療経済評価の必要性

 医療の効率的な提供が求められるなか,諸外国では新規医療技術や医薬品の経済評価とそれに基づいた医療選択に注目が集まっている.イギリスでは,1999年にNICE(National Institute for Health and Clinical Excellence)が設立され,新規技術や医薬品の経済評価を行ったうえで,税金で賄う医療保障制度であるNHS(national health service)において給付すべきかどうかの勧告を行っている.同様のアプローチはオーストラリアやカナダなどでも行われており,最近では韓国や台湾,タイといったアジアの国々でも用いられるようになってきた.いずれの国でも公的な医療保障制度のもとでどのような医療を提供していくかが課題である.日本でも中医協においてNICEのような役割を検討すべきではないかという意見が出ており,今後,保険診療については検討されていく可能性が高い.

参考文献

1) Miura S, Matsumoto K, Oki A, et al : Do we need a different strategy for HPV screening and vaccination in East Asia? International Journal of Cancer 119 : 2713─2715, 2006
2) 今野 良,笹川寿之,福田 敬・他 : 日本人女性における子宮頸癌予防ワクチンの費用効果分析.産婦治療97 : 530─542,2008
3) Konno R, Sasagawa T, Fukuda T, et al : Cost-effectiveness analysis of prophylactic cervical cancer vaccination in Japanese women. International Journal of Gynecological Cancer 20 : 385─392, 2010
4) 池上直己,池田俊也,土屋有紀(監訳) : 医療の経済評価.医学書院,1999
5) 厚生労働省 : ワクチン評価に関する小委員会報告書(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000014wdd.html)
6) ワクチン評価に関するワクチン接種の費用対効果推計法(文献5の一部)
7) 大日康史,菅原民枝 : 1QALY獲得に対する最大支払い意思額に関する研究.医療と社会16 : 157─165,2006
8) Shiroiwa T, Sung YK, Fukuda T, et al : International survey on willingness-to-pay (WTP) for one additional QALY gained : what is the threshold of cost effectiveness? Health Economics 19 : 422─437, 2010 2009 ; Apr 20

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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