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今月の臨床 子宮頸癌─予防と妊孕性温存のための治療戦略
妊孕性温存のための治療戦略
文献概要
子宮頸癌予防のための子宮頸部細胞診スクリーニングは大きな役割を果たしてきた.これは,スクリーニングによって前癌病変を診断し円錐切除による治療を行ってきたためと考えられる.
その結果,子宮頸癌は年々減少傾向にあるが,CIN(cervical intraepithelial neoplasia)患者は増加している.米国では年間100万人がCIN1と診断され,50万人がCIN2/3と診断されているものと推測されている.このようにCIN自体は非常にありふれた病変であり,CIN患者のごく一部しか子宮頸癌に進展しない.
米国子宮頸部病理・コルポスコピー学会(ASCCP)2006年のコンセンサス・ガイドラインにおいて,CIN2はCIN3と同様に子宮頸部円錐切除の対象としているが,同時に若年者における保存的経過観察も容認されている.これは,治療である円錐切除が早産や低出生体重児などの周産期予後の悪化に関連している可能性があるためである.日本でも初交年齢の低下によるCIN患者の増加や,晩婚化による高齢出産の増加による影響などで未産婦のCIN患者に対する円錐切除が問題視されている.
そこで,本稿ではCIN2の管理方法について概説する.
その結果,子宮頸癌は年々減少傾向にあるが,CIN(cervical intraepithelial neoplasia)患者は増加している.米国では年間100万人がCIN1と診断され,50万人がCIN2/3と診断されているものと推測されている.このようにCIN自体は非常にありふれた病変であり,CIN患者のごく一部しか子宮頸癌に進展しない.
米国子宮頸部病理・コルポスコピー学会(ASCCP)2006年のコンセンサス・ガイドラインにおいて,CIN2はCIN3と同様に子宮頸部円錐切除の対象としているが,同時に若年者における保存的経過観察も容認されている.これは,治療である円錐切除が早産や低出生体重児などの周産期予後の悪化に関連している可能性があるためである.日本でも初交年齢の低下によるCIN患者の増加や,晩婚化による高齢出産の増加による影響などで未産婦のCIN患者に対する円錐切除が問題視されている.
そこで,本稿ではCIN2の管理方法について概説する.
参考文献
1) Moscicki AB, Ma Y, Wibbelsman C, et al : Rate of and risks for regression of CIN-2 in adolescents and young women. Obstet Gynecol 116 : 1373─1380, 2010
2) Wetzensen N : Biomarkers triaging CIN2. HPV Conference 2010, Montreal
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4) 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会(編) : 産婦人科診療ガイドライン─婦人科外来編2011.pp31─32, 2011
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9) Matsumoto K, Oki A, Furuta R, et al : Predicting the progression of cervical precursor lesions by human papillomavirus genotyping : a prospective cohort study. Int J Cancer 128 : 2898─2910, 2011
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