icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科65巻2号

2011年02月発行

今月の臨床 静脈血栓塞栓症─予防・診断・治療

静脈血栓塞栓症の病態と予防ガイドライン

著者: 小林浩1 春田祥司1 川口龍二1

所属機関: 1奈良県立医科大学産婦人科

ページ範囲:P.105 - P.111

文献概要

はじめに

 現在,静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の予防ガイドラインおよびそのダイジェスト版が各医療機関のみならずインターネットでも容易に入手できる.2004年の4月からは静脈血栓塞栓症の予防管理料として保険点数がつけられるようになり,合併症の危険を伴う血栓症の予防法の施行においては,患者に対して十分にインフォームド・コンセントを得なければならない.静脈血栓塞栓症とくに肺血栓塞栓症の予知,ならびに発症した場合の適切な対応が不可欠である.わが国でも肺塞栓症による死亡が最近10年間で約3倍と急増しており(厚生労働省人口動態統計),決して稀な疾患ではないことを認識することが大切である.

 また,予防ガイドラインを遵守し適切な予防法を行っても完全にその発症を予防することは困難であるといわれるが,それでは実地臨床医としてはどのようにして静脈血栓塞栓症の予防に対処していたらよいのであろうか.そのためには,(1)誰に予防するのか,(2)誰に予防する必要はないのか,(3)いつからいつまで予防すべきか,(4)どのような予防法を取るべきか,(5)静脈血栓塞栓症を発見するための検査は必要か,などに対する回答が必要である.

 本稿では,これらの疑問を現在の予防ガイドラインを参照して解説を加える.

参考文献

1) Sakon M, Maehara Y, Yoshikawa H, et al : Incidence of venous thromboembolism following major abdominal surgery : a multi-center, prospective epidemiological study in Japan. J Thromb Haemost 4 : 581─586, 2006
2) Lee AY, Levine MN, Baker RI, et al : Randomized comparison of low-molecular-weight heparin versus oral anticoagulant therapy for the prevention of recurrent venous thromboembolism in patients with cancer(CLOT)investigators. Low-molecular-weight heparin versus a coumarin for the prevention of recurrent venous thromboembolism in patients with cancer. N Engl J Med 349 : 146─153, 2003
3) Lyman GH, Khorana AA, Falanga A, et al : American Society of Clinical Oncology. American Society of Clinical Oncology guideline : recommendations for venous thromboembolism prophylaxis and treatment in patients with cancer. J Clin Oncol 25 : 5490─5505, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら