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今月の臨床 静脈血栓塞栓症─予防・診断・治療
ホルモン補充療法と静脈血栓塞栓症
著者: 田辺晃子1 丸岡理紗1 大道正英1
所属機関: 1大阪医科大学産婦人科学教室
ページ範囲:P.155 - P.159
文献購入ページに移動ホルモン補充療法(hormone replacement therapy : HRT)は主に更年期障害の治療法の1つとして位置づけられ,特にhot flushや腟乾燥感,更年期うつ病に対し良好な治療成績が期待できる.それ以外にも,骨粗鬆症予防や脂質プロファイル改善,皮膚萎縮予防といった副効用も認められているのは周知のことである.一方2002年にWomen's Health Initiative(WHI)が報告した,経口の結合型エストロゲン(conjugated equine estrogen : CEE)とメドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone : MPA)を用いたHRTに関する大規模ランダム化比較試験の結果から,これまで心血管疾患リスクを低下させると信じられていたHRTがむしろリスクを上昇させることがわかり1),世界中に大きな衝撃が走った.またサブ解析により静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism : VTE)がHRT開始直後から約2倍に上昇しており2),経口のHRTがもたらすVTEのリスクを重要視しなければならない.一方で,2002年以降にサブ解析とともにさまざまな研究がなされ,VTEリスクの大きい対象患者の選別や,リスクのより少ないHRTレジュメがかなり明らかになってきた.
そこで本稿では,VTEリスクの少ない患者選びとHRTレジュメ選択について文献的に考察し,更年期~閉経後女性のQOL向上を後押しできるHRTについて考えたい.
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