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今月の臨床 母体と胎児の栄養学 妊娠中の栄養管理
1.基礎代謝と糖代謝の変化
著者: 大口昭英1
所属機関: 1芳賀赤十字病院産婦人科
ページ範囲:P.644 - P.648
文献購入ページに移動妊娠中の基礎代謝の変化
1. 非妊婦(成人)における基礎代謝量の算定
日本人の食事摂取基準(2010年版)において1),年齢別,性別の基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日),基準体重(kg),基礎代謝量(kcal/日)が示されている(表1).この表における基礎代謝量は,基準体重の人における,早朝空腹時に快適な室内(室温など)において安静仰臥位・覚醒状態で測定された代謝量を意味している.体重1 kg当たりの基礎代謝量を,基礎代謝基準値といい,基準体重が異なる場合は,この値を用いて基礎代謝量が計算できる.基礎代謝量(kcal/日)は,「基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)×基準体重(kg)」として算定される.エネルギー〈単位 : kcalあるいはMJ(M Joule),1.00 kcal=4.18 kJ,M(メガ)=106〉は,体成分の合成・分解および体温の維持や最低限の臓器の活動を維持する基礎代謝に必要であり,1日当たりのエネルギー消費量(総エネルギー消費量)は,身体活動レベルを考慮して,「基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル」として算定される.ここで,身体活動レベルとは,二重標識水法で測定された日本人の習慣的な総エネルギー消費量から計算されたものであり,2010年版では,身体活動レベルをI(低い : 身体活動レベルの代表値=1.50),レベルII(ふつう : 身体活動レベルの代表値=1.75),レベルIII(高い : 身体活動レベルの代表値=2.00)と3レベルに分類した1).レベルIIは,平均的な身体活動レベルの人を意味し,全体の約50%の人が該当する1).表2は基準体重の日本人を想定した場合の,年齢別,性別,身体活動レベル別のエネルギーの食事摂取基準 : 推定エネルギー必要量(kcal/日)を示したものである.ふつう体型の妊婦の推定エネルギー必要量を求める場合には,該当年齢の女性の身体活動レベルを特定し,その下段にある妊婦の初期,中期,後期の付加量を加えることで算出される1).
1. 非妊婦(成人)における基礎代謝量の算定
日本人の食事摂取基準(2010年版)において1),年齢別,性別の基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日),基準体重(kg),基礎代謝量(kcal/日)が示されている(表1).この表における基礎代謝量は,基準体重の人における,早朝空腹時に快適な室内(室温など)において安静仰臥位・覚醒状態で測定された代謝量を意味している.体重1 kg当たりの基礎代謝量を,基礎代謝基準値といい,基準体重が異なる場合は,この値を用いて基礎代謝量が計算できる.基礎代謝量(kcal/日)は,「基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)×基準体重(kg)」として算定される.エネルギー〈単位 : kcalあるいはMJ(M Joule),1.00 kcal=4.18 kJ,M(メガ)=106〉は,体成分の合成・分解および体温の維持や最低限の臓器の活動を維持する基礎代謝に必要であり,1日当たりのエネルギー消費量(総エネルギー消費量)は,身体活動レベルを考慮して,「基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル」として算定される.ここで,身体活動レベルとは,二重標識水法で測定された日本人の習慣的な総エネルギー消費量から計算されたものであり,2010年版では,身体活動レベルをI(低い : 身体活動レベルの代表値=1.50),レベルII(ふつう : 身体活動レベルの代表値=1.75),レベルIII(高い : 身体活動レベルの代表値=2.00)と3レベルに分類した1).レベルIIは,平均的な身体活動レベルの人を意味し,全体の約50%の人が該当する1).表2は基準体重の日本人を想定した場合の,年齢別,性別,身体活動レベル別のエネルギーの食事摂取基準 : 推定エネルギー必要量(kcal/日)を示したものである.ふつう体型の妊婦の推定エネルギー必要量を求める場合には,該当年齢の女性の身体活動レベルを特定し,その下段にある妊婦の初期,中期,後期の付加量を加えることで算出される1).
参考文献
1) II各論 : 1.エネルギー・栄養素 : 1エネルギー.日本人の食事摂取基準(2010年版),厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室栄養調査係編集,2009年5月29日発表,pp43─61,http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4e.pdf(2010/12/19 accessed)
2) II各論 : 2.ライフステージ : 2妊婦・授乳婦.日本人の食事摂取基準(2010年版),厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室栄養調査係編集,2009年5月29日発表,pp285─290,http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4as.pdf(2010/12/19 accessed)
3) 門脇 孝 : メタボリックシンドローム発症の分子メカニズム.日本臨床66 : 59─69, 2008
4) 小島秀人,木村 博 : 糖質の消化と吸収の分子機構.日本臨床66 : 81─84, 2008
5) 島野 仁 : 糖新生と解糖.日本臨床66 : 85─89, 2008
6) 大野晴也,浅野知一郎 : 糖輸送担体.日本臨床66 : 98─102, 2008
7) 杉山 隆 : 糖尿病と妊娠.日本臨床66 : 601─604, 2008
8) Phelps RL, Metzger BE, Freinkel N : Carbohydrate metabolism in pregnancy. XVII. Diurnal profiles of plasma glucose, insulin, free fatty acids, triglycerides, cholesterol, and individual amino acids in late normal pregnancy. Am J Obstet Gynecol 140 : 730─736, 1981
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