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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科65巻6号

2011年06月発行

文献概要

症例

術前に卵巣癌を疑った水腫様変性漿膜下子宮筋腫の1例

著者: 朝野晃1 早坂篤1 鈴木博義2 石橋ますみ1 島崇1 小澤信義1 和田裕一1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構仙台医療センター産婦人科 2独立行政法人国立病院機構仙台医療センター臨床検査科

ページ範囲:P.848 - P.851

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 年齢は41歳.下腹部の張り,背部・腰部重苦感を主訴に受診した.

 超音波検査,CT, MRI検査で腫瘍内部に網目状に細かな隔壁を有する新生児頭大の嚢胞性腫瘍を認め,卵巣癌を疑った.腫瘍マーカーではCA 125が57.5 U/mlと軽度上昇していた.開腹手術を施行したところ,子宮は正常大で,子宮後壁下部より発生した,一見卵巣腫瘍と思われる長径20 cmの嚢胞性に水腫様変性をした漿膜下筋腫であり,筋腫核出術を施行した.

 卵巣悪性腫瘍を思わせる多嚢胞性骨盤腫瘍の場合には,変性した漿膜下平滑筋腫の可能性を考慮し,症状,子宮との連続性の有無,血中CA 125値,子宮からのflow voidの有無などに注意し,鑑別診断を進める必要があると思われた.

参考文献

1)黒牧謙一,清水 謙,竹田 省,他:卵巣腫瘍との鑑別を要した漿膜下子宮筋腫の2例.日産婦埼玉地方部会会誌20:24-28, 1990
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4)羽山友成,藤本英夫,赤木武文,他:卵巣腫瘍と鑑別困難であった変性を伴う巨大子宮漿膜下筋腫の2例.広島医学48:781-784, 1995
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6)佐久間洋,白石眞人,間庭純一,他:卵巣腫瘍との鑑別に苦慮した嚢胞様変性子宮漿膜下筋腫の1例.日産婦埼玉会誌29:3-7, 1999
7)江村俊也,中島秀行,上村桃子,他:MRIが有用であった変性子宮筋腫の2例.南大阪病医誌50:115-119, 2002
8)松永恒伊,宮崎亮一郎:診断に苦慮した高度変性子宮筋腫の1例.日産婦東京会誌57:135-139, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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