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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科65巻8号

2011年08月発行

今月の臨床 母子感染─新しい制御戦略

胎内感染のリスクと対策

6.麻疹

著者: 永井立平1 林和俊1

所属機関: 1高知医療センター産科

ページ範囲:P.1009 - P.1012

文献概要

 麻疹はパラミクソウイルス科に属する麻疹ウイルスによって引き起こされる感染症である.麻疹ウイルスの感染様式は空気感染(飛沫核感染),飛沫感染,接触感染とさまざまであり,その感染力はきわめて強い.不顕性感染はほとんどなく,感染した場合90%以上が発病する.麻疹に対する特異的な治療方法は存在せず,麻疹ウイルスの感染・発病に対する予防手段は麻疹ワクチンしか存在しない.一度罹患すると終生免疫が獲得されること,基本的にはヒトを唯一の宿主とすることから根絶可能疾患と考えられているが,わが国はワクチン接種を行っているにもかかわらず麻疹廃絶できていない数少ない先進国である.WHO分類でも麻疹制圧期(常に麻疹の流行が起こりうる状態)とされており,妊孕性のある年齢での麻疹発症のリスクは決して低いとは言えない状況下にある1~3)

参考文献

1) 国立感染症研究所 : 感染症情報センター報告書「麻疹の現状と今後の麻疹対策について」.平成14年10月
2) 国立感染症研究所ウイルス第3部 : 「麻疹診断マニュアル(第2版)」.平成20年7月
3) 奥田美加,高橋恒男,平原史樹 : 周産期管理からみた麻疹・風疹感染対策,産婦治療102 : 139─144,2011
4) 山本久美,多屋馨子 : 我が国の麻疹排除計画とその実践─2012年の排除を目指して.医学のあゆみ239 : 164─166,2010
5) 庄司健介,斉藤昭彦 : 麻疹,ムンプス,周産期医41 : 277─279,2011
6) Eberhart-Phillips JE, Frederick PD, et al : Measles in pregnancy : a descriptive study of 58 cases. Obstetrics and Gynecology 82 : 797─801, 1993
7) Jasperson CS, Lttauer J, Saqild U : Measles as a cause of fetal defects. A retrospective study of ten measles epidemics in Greenland. Acta Paediatrica 66 : 367─372, 1977
8) 笠井正志,玉井 晋,船戸正久 : 麻疹~妊娠中の麻疹罹患への対応と新生児期の麻疹感染.周産期医32 : 853─856,2002
9) Gershon AA : Infection diseases of the fetus and newborn infant. 5th edition(eds, Measles, Remington and Klein), pp712─732,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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