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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科65巻8号

2011年08月発行

文献概要

今月の臨床 母子感染─新しい制御戦略 産道感染・母乳感染への対策

2.HTLV─1

著者: 三浦清徳1 増﨑英明1

所属機関: 1長崎大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.1029 - P.1037

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 成人T細胞白血病(ATL)やHTLV─I型関連脊髄症(HAM)の原因であるHTLV─1の主な感染経路は,母乳を介した母子感染である.HTLV─1キャリアは九州・沖縄など一部の地域で高頻度に認められ,長崎県では1987年からHTLV─1母子感染予防事業に取り組み,妊婦のHTLV─1抗体スクリーニングシステム,検査結果の説明とカウンセリング,フォローアップに至るHTLV─1母子感染予防に関するプロトコールが整備されている1, 2).一方,平成20年度・平成21年度厚生労働科学研究事業報告により,HTLV─1キャリアが大都市圏に拡散し全国的な妊婦のHTLV─1抗体スクリーニングの必要性が判明した3, 4).『産婦人科診療ガイドライン産科編2011』では,妊婦のHTLV─1抗体スクリーニングはCからAに引き上げられ5),これまでHTLV─1キャリアが低頻度であった地域においても,妊婦のHTLV─1抗体スクリーニングシステムの確立が必要とされている.

 本稿では,HTLV─1母子感染予防対策について,長崎県における取り組みとその成果をもとに解説する.

参考文献

1) 長崎県ATLウイルス母子感染防止研究協力事業連絡協議会(会長 増﨑英明) : ATL(成人T細胞白血病・リンパ腫)ウイルス母子感染の予防─指導者用テキスト.pp1─38,平成21年3月
2) 長崎県ATLウイルス母子感染防止研究協力事業連絡協議会(会長 増﨑英明) : 長崎県ATLウイルス母子感染防止研究協力事業(APP)報告書─20年のあゆみ.pp1─21,平成20年3月
3) 厚生労働省科学研究費補助金新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業「本邦におけるHTLV─1感染及び関連疾患の実態把握と総合対策」研究班(主任研究者 山口一成) : 平成20年度研究総括報告書.pp1─14,平成21年3月
4) 厚生労働省科学研究費補助金厚生労働科学特別研究事業「HTLV─1母子感染予防に関する研究」研究班(主任研究者 齋藤 滋) : 平成21年度研究総括報告書.pp1─89,平成22年3月
5) 産婦人科診療ガイドライン─産科編2011.pp1─389,平成23年4月
6) 厚生労働省科学研究費補助金厚生労働科学特別研究事業「HTLV─1母子感染予防のための保健指導の標準化に関する研究」研究班(主任研究者 森内浩幸) : 平成22年度研究総括報告書.pp1─77,平成23年3月
7) 長崎県ATLウイルス母子感染防止研究協力事業連絡協議会(会長 増﨑英明) : 平成22年度長崎県ATLウイルス母子感染防止研究協力事業(APP)報告書.pp1─11,平成23年3月
8) HTLV─1特命チーム : HTLV─1総合対策.pp1─3,平成22年12月

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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