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今月の臨床 不妊診療のABC─ARTの前にできること
不妊検査の要点
著者: 菅沼信彦1
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
ページ範囲:P.1102 - P.1106
文献購入ページに移動 1978年,世界初の体外受精児の誕生がEdwrads博士(2010年にノーベル生理学・医学賞を受賞)らによって成功して以降,この技術は全世界に広まった.日本においても,2008年には年間2万人以上が体外受精関連技術により出生している1).少産少子化が進むわが国においては,50人の出生児に対し1人は体外受精児となり,まさに「不妊治療=体外受精」の社会的印象を与えている.
しかしながら,わが国における潜在的な不妊患者総数は140万人におよぶと言われており,その中で不妊治療を受けているカップルは約1/3の47万人ほどである2).各種不妊治療の最終的な成功率などの詳細は別稿「インフォームド・コンセントに役立つ不妊統計(p1094)」に譲るが,多くの例では体外受精に至る前に妊娠に成功し得ると考えられる.ARTが不妊症患者に与える身体的,精神的負担が多大であることは言うまでもなく,さらにわが国においては健康保険の適応外であり経済的な負担も考慮しなければならない.
しかしながら,わが国における潜在的な不妊患者総数は140万人におよぶと言われており,その中で不妊治療を受けているカップルは約1/3の47万人ほどである2).各種不妊治療の最終的な成功率などの詳細は別稿「インフォームド・コンセントに役立つ不妊統計(p1094)」に譲るが,多くの例では体外受精に至る前に妊娠に成功し得ると考えられる.ARTが不妊症患者に与える身体的,精神的負担が多大であることは言うまでもなく,さらにわが国においては健康保険の適応外であり経済的な負担も考慮しなければならない.
参考文献
1) 日本産科婦人科学会平成21年度倫理委員会・登録・調査小委員会報告(2008年分の体外受精・胚移植等の臨床実施成績および2010年7月における登録施設名).日産婦誌62 : 1821─1849,2010
2) 山縣然太朗,星 和彦,平田修司,他 : 生殖補助医療技術についての意識調査2003 集計結果,平成14年度厚生労働科学研究費補助金厚生労働科学特別研究「生殖補助医療技術に対する国民の意識に関する研究」 : http://www.mhlw.go.jp/wp/kenkyu/db/tokubetu02/index.html, 2003
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8) 原谷博信,深谷孝夫 : 内視鏡を用いた不妊症の診断と治療.図説産婦人科VIEW─32 不妊症の臨床 診断・治療の向上をめざして(星 和彦,吉村泰典,武谷雄二編).pp120─129,メジカルビュー社,1998
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