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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科65巻9号

2011年09月発行

文献概要

今月の臨床 不妊診療のABC─ARTの前にできること 不妊原因診断とARTの前の対処法

1.中枢性排卵障害・高PRL血症

著者: 今井文晴1 岸裕司1 峯岸敬1

所属機関: 1群馬大学医学部附属病院産科婦人科

ページ範囲:P.1108 - P.1112

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 排卵障害は不妊症原因の約1/3を占め,臨床上大きな問題となっている.このため排卵障害の原因と重症度を正確に診断し,これに合わせた適切な治療法を診断することが重要となる.排卵が障害される原因は主として,(1)視床下部,(2)下垂体,(3)卵巣の各部位に認められ,これは表11)のように分類される.

 視床下部性排卵障害の主な原因として栄養不良やストレスが挙げられる.これは視床下部におけるGnRH分泌低下により引き起こされるとされる.GnRH分泌は中枢・末梢の種々の因子により促進的または抑制的に制御されているが,近年GnRH分泌促進因子としてレプチンおよびkisspeptinが,またGnRH分泌抑制因子としてneuropeptide Y(NPY)などの摂食促進因子やストレス関連因子の一部およびgonadotropin inhibiting hormone/RFamide-Related-Peptide(GnIH/RFRP)が注目を集めている.栄養不良の状態や強いストレスを受けた状態ではGnRH分泌促進因子の作用の抑制とGnRH分泌抑制因子の作用の活性化が同時に起こり,GnRH分泌が低下するものと推測される2)(図1).

参考文献

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9) 青野敏博 : 高プロラクチン血症 図説プロラクチン.33─40,医歯薬出版,1985
10) 田坂慶一 : 乳汁分泌.産婦の実際59 : 1689─1693,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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