icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科66巻1号

2012年01月発行

連載 Obstetric News

切迫早産―抗菌薬療法の有効性

著者: 武久徹1

所属機関: 1武久レディースクリニック

ページ範囲:P.98 - P.99

文献概要

 潜在性性器感染が早産の原因の1つであることは明らかである.しかし,切迫早産の症状がある妊婦に早産予防目的で抗菌薬を使用すれば,妊娠週数延長や新生児罹患・死亡を減少させるうえで利点があるという信頼できる研究はない.

 コクランレビューで,妊娠36週以前で未破水妊婦の早発陣痛を抑制する目的で,子宮収縮抑制剤と予防的抗菌薬併用の効果を検討したものがある.11研究(7,000人以上)が対象になっている(King J&Flenady V. Cochrane Database Syst Rev. 2002).この解析は,広域スペクトラムの経口抗菌薬が使用された1つの大規模研究に大きく影響されている(研究対象者数は,後述のORACLE IIだけで,10研究合計の6倍).その結果,抗菌薬非使用群に比べ,抗菌薬使用群で妊娠週数延長,もしくは,治療開始後48時間以内の分娩,妊娠36または37週未満の分娩,周産期死亡,呼吸窮迫症候群,新生児敗血症,または新生児罹患の有意な減少は見られなかった.しかし,予防的抗菌薬使用によって,母体感染(絨毛膜羊膜炎,子宮内膜炎)の有意な減少(26%減少)が見られた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら