文献詳細
症例
高悪性度子宮内膜間質肉腫に高分化型類内膜腺癌が共存したcollision tumorの1例
著者: 小林真実1 大和田倫孝1 黒田一2 厚木右介1 若佐谷敦1 島田和彦1 山田哲夫1 佐藤郁夫1
所属機関: 1国際医療福祉大学病院産婦人科 2国際医療福祉大学病院病理診断科
ページ範囲:P.1149 - P.1153
文献概要
子宮内膜間質肉腫は稀な疾患であり,さらに腺癌が共存した症例の報告はきわめて少ない.また高悪性度子宮内膜間質肉腫は治療法が確立されておらず,予後不良である.今回われわれは,高悪性度子宮内膜間質肉腫に高分化型類内膜腺癌が共存したcollision tumorの症例を経験した.症例は43歳,不正性器出血を主訴に来院した.画像診断では内膜の肥厚が認められ,さらに内膜細胞診および組織診において低分化腺癌が疑われたため,子宮体癌の診断のもとに単純子宮全摘出,両側卵管・卵巣摘出,骨盤リンパ節郭清を行った.術後の病理診断では,高悪性度子宮内膜間質肉腫と診断され,さらに内膜の一部に高分化型類内膜腺癌の所見が認められた.両腫瘍間には正常内膜組織が介在し,非連続性であったためcollision tumorと診断した.追加治療としてIAP療法を行い,術後6か月現在,再発徴候はみられていない.本腫瘍は,癌肉腫として扱われている症例が存在する可能性があり,診断には注意を要する.
参考文献
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