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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科66巻3号

2012年03月発行

文献概要

症例

腹腔鏡術後10日目に肺梗塞を発症した症例

著者: 呉佳恵1 内藤子来1 福岡実1 松田孝之1 子安保喜2

所属機関: 1恵生会病院産婦人科 2四谷メディカルキューブウィメンズセンター

ページ範囲:P.295 - P.299

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要旨

 周術期の合併症として肺塞栓症は重要な疾患であるが,急性肺塞栓症が肺梗塞に至る頻度は10%程度であり比較的稀な疾患である.今回,腹腔鏡下卵巣チョコレート囊腫摘出術後に明らかな肺塞栓症状なく肺梗塞を発症した症例を経験した.術後10日目に右心不全症状が出現し,胸部CT画像にて診断に至った.抗凝固療法を開始し術後33日目に画像上は肺野正常化するも,通常生活可能となるのはさらに2か月後であり,低侵襲であるべき腹腔鏡手術患者のQOLが損なわれる結果となった.

参考文献

1) 肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン作成委員会編 : 肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン,2004
2) 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008年度合同研究班報告) : 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2009年改訂版)
3) 山田典一,他 : 肺血栓塞栓症の診断と治療.血栓止血誌19 : 29─34,2008
4) 黒岩政之 : 周術期肺血栓塞栓症予防における抗凝固療法─周術期肺血栓塞栓症の現状─日本麻酔科学会周術期肺血栓塞栓症ワーキンググループ調査結果より.日本臨床麻酔科学会誌28 : S187,2008
5) 美部兼六郎,他 : 腹腔鏡下婦人科悪性腫瘍手術と肺血栓塞栓症リスク.産婦治療99 : 205─209,2009
6) 池田正孝,他 : 消化器癌術後肺塞栓症の発生頻度についての検討.日外科系連会誌106 : 232─236,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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