文献詳細
今月の臨床 性感染症と母子感染─最新の診断と管理
母子感染 最新の管理法
文献概要
●ヒトT細胞白血病ウイルス-1型(HTLV-1)は,成人T細胞白血病(ATL)やHTLV-1関連脊髄症(HAM)の原因ウイルスである.
●HTLV-1は,主に母乳を介して母子感染を起こす.
●ATLやHAMの発症を完全に阻止する治療手段はなく,HTLV-1母子感染症の現時点における制御戦略は母乳感染を予防することが最も有効かつ重要である.
●HTLV-1キャリア妊婦の1次スクリーニング検査(PA法もしくはCLEIA法)で陽性例もしくは疑陽性例には,ウエスタンブロット法を用いた確認検査の実施が必要である.
●ウエスタンブロット法を用いたHTLV-1抗体検査には10~15%の判定保留例が存在するため,最終判定にはPCR法を用いたDNA検査が有用である.
●HTLV-1は,主に母乳を介して母子感染を起こす.
●ATLやHAMの発症を完全に阻止する治療手段はなく,HTLV-1母子感染症の現時点における制御戦略は母乳感染を予防することが最も有効かつ重要である.
●HTLV-1キャリア妊婦の1次スクリーニング検査(PA法もしくはCLEIA法)で陽性例もしくは疑陽性例には,ウエスタンブロット法を用いた確認検査の実施が必要である.
●ウエスタンブロット法を用いたHTLV-1抗体検査には10~15%の判定保留例が存在するため,最終判定にはPCR法を用いたDNA検査が有用である.
参考文献
1) 長崎県ATLウイルス母子感染防止研究協力事業連絡協議会(会長 : 増崎英明) : ATL(成人T細胞白血病・リンパ腫)ウイルス母子感染の予防─指導者用テキスト.pp1─38,2009
2) 長崎県ATLウイルス母子感染防止研究協力事業連絡協議会(会長 : 増崎英明) : 長崎県ATLウイルス母子感染防止研究協力事業(APP)報告書─20年のあゆみ.pp1─21,2008
3) 厚生労働省科学研究費補助金新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業「25年間継続した妊婦のHTLV-1抗体検査から得られた母子感染予防効果の検証および高精度スクリーニングシステム開発」研究班(主任研究者 : 増崎英明) : 平成23年度研究総括・分担報告書.pp1─80,2012
4) 厚生労働省科学研究費補助金新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業「本邦におけるHTLV-1感染及び関連疾患の実態把握と総合対策」研究班(主任研究者 : 山口一成) : 平成20年度研究総括報告書.pp1─14,2009
5) 厚生労働省科学研究費補助金厚生労働科学特別研究事業「HTLV-1母子感染予防に関する研究」研究班(主任研究者 : 齋藤 滋) : 平成21年度研究総括報告書.pp1─89,2010
6) 産婦人科診療ガイドライン─産科編 2011.pp1─389,2011
7) 厚生労働省科学研究費補助金厚生労働科学特別研究事業「HTLV-1母子感染予防のための保健指導の標準化に関する研究」研究班(主任研究者 : 森内浩幸) : 平成22年度研究総括報告書.pp1─77,2011
8) 長崎県ATLウイルス母子感染防止研究協力事業連絡協議会(会長 : 増崎英明) : 平成23年度長崎県ATLウイルス母子感染防止研究協力事業(APP)報告書.pp1─2,2011
9) HTLV-1特命チーム : HTLV-1総合対策.pp1─3,2010
10) 三浦清徳,増崎英明 : HTLV-1.臨婦産65 : 1029─1037,2011
11) 増崎英明 : HTLV-1母子感染について.日医会誌 140 : 808─811,2011
12) 増崎英明 : HTLV-I母子感染防止─長崎県における24年間の取り組み.日周産期・新生児医会誌47 : 769─771,2011
13) 築山尚史,三浦清徳,増崎英明 : 母子感染の管理─(4)HTLV-1.臨婦産66 : 182─189,2012
掲載誌情報