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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科67巻1号

2013年01月発行

文献概要

原著

子宮頸部円錐切除術後の妊娠・分娩の検討

著者: 谷本博利1 岡本啓1 高尾佑子1 本田裕1 寺本三枝1 寺本秀樹1

所属機関: 1広島市立安佐市民病院産婦人科

ページ範囲:P.193 - P.196

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要旨

 子宮頸部円錐切除術が妊娠・分娩に及ぼす影響について,2001年1月~2011年12月の間に子宮頸部円錐切除術を施行した症例のうち手術時に妊娠中であった症例および術後に妊娠を確認できた症例50例,63妊娠を対象に検討した.自然流産は14.3%(9/64)であり一般の自然流産頻度8~15%とほぼ同等であった.分娩に至った症例のうち37週未満の早産は18.4%(9/49),36週未満の早産は8.2%(4/49)であり一般妊娠での早産率と比較して高率であった.妊娠継続中,人工流産,不明を除いた58例の検討で,頸管縫縮術を施行した症例は11例,そのうち36.4%(4/11)が流早産となった.頸管縫縮術を施行していない47例での流早産は29.8%(14/47)であった.頸管縫縮術の有無と流早産の頻度には有意差を認めなかった(p=0.6746).子宮頸部円錐切除後妊娠では早産の頻度が高く慎重な管理が必要と考えられた.また,円錐切除後妊娠での頸管縫縮術の早産防止に関する有用性は明らかではなかった.

参考文献

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2) 久布白兼行,舛本暢生,岩田 卓,他 : 子宮頸部円錐切除術における妊孕性温存.産と婦68 : 1024─1030, 2001
3) Kyrgiou M, Koliopoulos G, Martin-Hirsch P, et al : Obstetric outcomes after conservative treatment for intraepithelial or early invasive cervical lesions : systematic review and meta-analysis. Lancet 367 : 489─498, 2006
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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