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編集後記
著者: 倉智博久
所属機関:
ページ範囲:P.202 - P.202
文献購入ページに移動 日本産科婦人科学会や内科学会,外科学会などの18の基盤学会に加えて,産科婦人科であれば,婦人科腫瘍,周産期,生殖,女性医学などのサブスペシャリティー学会も重要な役割を果たしつつあります.近いうちには,各分野で一定以上のレベルが要求される診療には,その学会の専門医の資格が求められるかもしれません.診療の質を保つためには,このような考え方,規制も必要かもしれませんが,これには以下の2つの大きな問題点を感じています.(1)専門医の資格を要求するならば,専門医に対するインセンティブが必要であること,(2)地方の実情を考えていただきたいこと,です.後者の問題点について,ある地方の現状を書きます.わが県では,全体で婦人科腫瘍専門医は2人,生殖医療指導医は3人,産婦人科内分泌専門医は1人と専門医が少なく,そのためこれらの3分野とも指導施設認定を受けているのは大学医学部附属病院のみです.したがって,若手医師がこれらの分野で専門医を目指す場合,大学病院で経験した症例しか登録できません.日産婦の場合は,連携施設という制度がありますから,関連病院が指導施設に適合していなくても,大学病院との連携で経験症例が専門医試験の申請時に認められますが,サブスペシャリティー学会の施設認定はわが県では厳しい条件です.一般病院の先生方がサブスペシャリティー学会の専門医資格を取得することは,施設指定を受けていない自施設での経験症例が認められないという問題や,一般病院のスタッフが少なく,学会出張が困難であることを考えると,容易なことではありません.おそらく多くの地方では,大学病院に症例を集め,専門医を育成するしかないというのが現状ではないでしょうか.
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