文献詳細
症例
交通外傷により虫垂断裂をきたした初妊婦
著者: 桑原良奈1 角田玲子1 井田耕一1 小口治1 仲井育子1 成田麻衣子2 大久保浩毅2
所属機関: 1厚生連佐久総合病院産婦人科 2厚生連佐久総合病院外科
ページ範囲:P.1183 - P.1186
文献概要
妊娠中に交通外傷などの鈍的外力を受けた場合,一般的な外傷以外に常位胎盤早期剝離,子宮破裂,早産,前期破水,子宮内胎児死亡などの産科的異常をきたすことがあり注意が必要である.今回,交通外傷により,産科的異常は認めなかったが虫垂断裂をきたした妊婦の症例を経験した.症例は29歳,妊娠16週の初妊婦.交通事故のため当院搬送となった.シートベルト痕は妊娠子宮をまたぐように臍上を横走しており,児心拍は正常で,産科的異常は認めなかった.右下腹部に最強点のある圧痛と腹膜刺激症状があり,腹部単純CTでfree airと右傍結腸溝に少量のfluid collectionを認め,腸管損傷を疑い緊急手術となった.開腹時,回盲側に断裂した5 cmほどの虫垂を認め,その後,腹腔内に遊離していた5 cmほどの虫垂先端を除去した.術後はウテメリン点滴を行い,退院となった.受傷機転・妊娠子宮の大きさなどにより,さまざまな病状を呈することを考えさせられた症例であった.
参考文献
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