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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科67巻2号

2013年03月発行

文献概要

臨床経験

Nuchal translucencyの正しい評価方法と問題点

著者: 佐野匠1 藤田太輔1 加藤壮介1 宮本良子1 鈴木裕介1 神吉一良1 湯口裕子1 荘園ヘキ子1 山下能毅1 亀谷英輝1 大道正英1

所属機関: 1大阪医科大学産婦人科

ページ範囲:P.317 - P.322

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要旨

 Nuchal translucency(以下,NT)とは,妊娠初期の胎児超音波検査で,後頸部に観察される低エコー域のことであり,肥厚が認められる場合に染色体異常や心奇形などのリスクが上昇する.欧米ではNTが出生前診断マーカーとして扱われているが,本邦ではいまだ普及していない.当院にNTの肥厚を疑われて紹介された15例を対象として前医と当院でのNT値の比較,測定方法などを検討した.当院で測定された15症例中9例(60%)は,NT値が95th centiles以上であった.残りの6例(40%)は95th centiles以内であった.前医でThe Fetal Medicine Foundationの規定する測定法を用いて正しく測定された例は1例も認めなかった.12例に羊水染色体検査を施行し,5例に染色体異常を認めた.本邦ではNTは正しく測定・評価されていない実態が明らかとなった.出生前診断を行ううえで,NTの正しい測定と理解が必要であると考えられた.

参考文献

1) Nicolaides KH : The 11―13 weeks scan. Fetal Medicine Foundation, London, 2009
2) Snijders R, Noble P, Sebire N, et al : UK multicentre project on assessment of risk of trisomy 21 by maternal age and fetal nuchal translucency thickness at 10―14 weeks of gestation. Lancet 351 : 343―346, 1998
3) ACOG Practice Bulletin No. 77 : screening for fetal chromosomal abnormalities. Obstet Gynecol 109 : 217―227, 2007
4) 厚生科学審議会先端医療技術評価部会,出生前診断に関する専門委員会 : 母体血清マーカー検査に関する見解,1999
5) Lau TK, Evans MI : Second-trimester sonographic soft markers : what can we learn from the experience of first-trimester nuchal translucency screening? Ultrasound Obstet Gynecol 32 : 123―125, 2008
6) 日本産科婦人科学会 : 出生前に行われる検査および診断に関する見解.日本産科婦人科学会,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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