文献詳細
今月の臨床 思春期診療グレードアップ
思春期の知っておきたい健康リスク
文献概要
●本邦では小児思春期において,肥満とともにやせが増加し,「普通」が減少している特徴がある.
●摂食障害は低年齢化の傾向がみられる.
●首都圏の小・中学生,高校生の神経性食欲不振症(AN)の有病率はそれぞれ,0.209%,0.674%,0.245%であった.すなわち,中学生では1,000人に7人弱の有病者が存在する.
●有病率では,男子にも有病者は一定頻度認められ,女子では小5からコンスタントに存在し,中2,中3と学年が進むと増加していく.
●二次性徴に伴う体脂肪の沈着は,月経を迎える前後の思春期成長のピークを迎えた頃から起こり始めるが,二次性徴も含めこれら変化に対して子どものみならずネガティブな印象を持つ親が増加している.
●現代では,社会的複雑性と過栄養により,初潮年齢は早まっているが心理・社会的成熟年齢は遅れ,この2つに差が生じている.
●やせ願望へのメディアの影響は大きいが,情報の取捨選択が適切に行えないことも摂食障害の要因である.
●小児期の摂食障害では成長障害,最大骨量獲得の障害,性腺機能成熟障害が認められる.
●比較的短期間に摂食障害発症前の身体状況まで回復すれば,これらの機能・生化学所見などは回復が見込まれるが,長期にわたる障害では回復困難である可能性もあり,結果として成人身長の低下,若年期からの骨粗鬆症を招く可能性がある.
●さらに,脳の成熟にも問題が出る可能性がある.今後発症予防,早期発見・早期治療の体制を確立することが喫緊の課題と考えられる.
●摂食障害は低年齢化の傾向がみられる.
●首都圏の小・中学生,高校生の神経性食欲不振症(AN)の有病率はそれぞれ,0.209%,0.674%,0.245%であった.すなわち,中学生では1,000人に7人弱の有病者が存在する.
●有病率では,男子にも有病者は一定頻度認められ,女子では小5からコンスタントに存在し,中2,中3と学年が進むと増加していく.
●二次性徴に伴う体脂肪の沈着は,月経を迎える前後の思春期成長のピークを迎えた頃から起こり始めるが,二次性徴も含めこれら変化に対して子どものみならずネガティブな印象を持つ親が増加している.
●現代では,社会的複雑性と過栄養により,初潮年齢は早まっているが心理・社会的成熟年齢は遅れ,この2つに差が生じている.
●やせ願望へのメディアの影響は大きいが,情報の取捨選択が適切に行えないことも摂食障害の要因である.
●小児期の摂食障害では成長障害,最大骨量獲得の障害,性腺機能成熟障害が認められる.
●比較的短期間に摂食障害発症前の身体状況まで回復すれば,これらの機能・生化学所見などは回復が見込まれるが,長期にわたる障害では回復困難である可能性もあり,結果として成人身長の低下,若年期からの骨粗鬆症を招く可能性がある.
●さらに,脳の成熟にも問題が出る可能性がある.今後発症予防,早期発見・早期治療の体制を確立することが喫緊の課題と考えられる.
参考文献
1) Parent AS, Teilmann G, Juul A, et al : The timing of normal puberty and the age limits of sexual precocity : variations around the world, secular trends and changes after migration. Endocr Rev 24 : 668─693, 2003
2) 厚労省間脳下垂体機能障害調査研究班 : 平成13年度総括研究事業報告書,中枢性性成熟症(思春期早発症)診断の手引き
3) 堀川玲子 : 中枢性摂食異常症の病病因・病態に関する臨床研究 中枢性摂食異常症研究班 厚生労働科学研究報告書(2008)
4) 堀川玲子 : 思春期医学─何が問題なのか.小児科臨床60 : 13─22,2006
5) Gluckman PD, Hanson MA : Evolution, development and timing of puberty. Trends Endocrinol Metab 17 : 7─12, 2006
6) Horikawa R, Ikema S, Ikuta N : Stunted Growth and Hypothalamic-Pituitary Dysfunction before and after Eating disorders in Children and Adolescents. Clin Pediatr Endocrinol 14(suppl 24) : 59─62, 2005
7) Sisk CL&Foster DL : The neural basis of puberty and adolescence. Nat Neurosci 7 : 1040─1047, 2004
8) 中村恵子,他 : 15歳以前に発症した摂食障害の臨床的特徴─11年間の44例について.小児の精神と神経35 : 109,1995
9) Misra M, Klibanski A : Anorexia nervosa and osteoporosis. Rev Endocr Metab Disord 7(1─2) : 91─99, 2006
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