icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科67巻9号

2013年09月発行

文献概要

症例

サーバリックス®により生じた脂肪萎縮症の1例

著者: 三田村康貴12 占部和敬1 古江増隆2

所属機関: 1国立病院機構九州医療センター皮膚科アレルギー科 2九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野

ページ範囲:P.982 - P.984

文献購入ページに移動
要旨

 18歳,女性.3週間前から出現した右上腕の萎縮,陥凹を主訴に当科を受診した.5か月前にHPV(human papillomavirus)16/18に対する子宮頸がんワクチン(サーバリックス®)を同部位に筋肉内注射されていた.モルフェア,深在性エリテマトーデスなどの鑑別目的に皮膚生検を施行した.病理組織学的検査では病変の主体は皮下脂肪織にあり,脂肪細胞の変性および消失が認められた.ヒアリン様物質の沈着,脂肪滴を貪食する組織球を認めた.サーバリックス®による脂肪萎縮症と診断した.一般にステロイド局所注射により脂肪萎縮症をきたすことが多く,女性に多いことが知られている.サーバリックス®による脂肪萎縮症の報告は調べえた限りなく,きわめて稀であると考えられた.婦人科医師は本疾患を認識し,対策を取る必要があると考えたため報告する.

参考文献

1) Sardana K, Garg VK, Bhushan P, et al : DPT vaccine-induced lipoatorophy : an observational study. Int J Dermatol 46 : 1050─1054, 2007
2) Ojaimi S, Buttery JP, Korman TM : Quadrivalent Human Papillomavirus recombinant vaccine associatedlipoatrophy. Vaccine 27 : 4876─4878, 2009
3) 新井真悟 : ステロイド局所注射により生じた脂肪萎縮症.Visual Dermatology 4 : 912─913,2005
4) 櫻井英一,吉田亜希,前田文彦,他 : ステロイド局注による脂肪萎縮症.Visual Dermatology 8 : 142─144,2009
5) 井上正樹 : ヒトパピローマウイルス 子宮頸癌.臨床と微生物38 : 249─255,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?