文献詳細
症例
妊娠中の正常卵巣茎捻転の1例
著者: 伊藤理恵1 藤田太輔1 田中健太郎1 佐野匠1 神吉一良1 鈴木裕介1 渡辺綾子1 加藤壮介1 兪史夏1 荘園ヘキ子1 亀谷英輝1 大道正英1
所属機関: 1大阪医科大学産婦人科
ページ範囲:P.177 - P.180
文献概要
子宮付属器腫瘍の茎捻転は婦人科領域において稀ではなく,特に妊娠中は妊娠初期でしばしば発症する.今回,自然妊娠成立後に妊娠31週において正常卵巣茎捻転を経験したので文献的考察を含めて報告する.
33歳,G1P1,妊娠31週2日に突然左下腹部痛が出現し,当院へ搬送された.骨盤MRIで左子宮付属器の腹側への変位を認め,鎮痛剤を使用したが下腹部痛の改善を認めず,正常卵巣茎捻転を疑い緊急試験開腹術を施行した.開腹所見では,左子宮付属器は子宮の腹側へ変位し,左卵巣の茎捻転を認めた.左卵巣は正常大で暗赤色を呈しており,左子宮付属器摘出術を施行した.術後の経過は良好で術後15日目に退院した.その後外来で経過を観察し,妊娠40週0日,経腟分娩で3,184 gの女児を娩出した.正常卵巣の茎捻転はきわめて稀であるが,妊娠中に激しい腹痛を認めた場合には正常卵巣茎捻転も想定した対応が必要であることが示唆された.
参考文献
掲載誌情報