文献詳細
症例
卵巣成熟囊胞性奇形腫再発手術後に後腹膜成熟囊胞性奇形腫病変を認めた1例
著者: 矢野倫子1 平池修1 平田哲也1 吉野修1 甲賀かをり1 大須賀穣1 藤井知行1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院女性外科
ページ範囲:P.1133 - P.1137
文献概要
婦人科領域において後腹膜腫瘍は比較的稀な疾患であり,ときに診断・治療に苦慮する.今回われわれは,卵巣成熟囊胞性奇形腫再発手術後に,後腹膜腔に成熟囊胞性奇形腫病変を認めた1例を経験したので報告する.症例は36歳,0経妊0経産,23歳時腹腔鏡下卵巣成熟囊胞性奇形腫切除術,24歳時開腹下での骨盤腹膜炎,右卵巣成熟囊胞性奇形腫切除術の手術歴があり,26歳時前医にて腫瘍再発を指摘されていたが定期的受診はなかった.その後不妊を主訴に当科初診となった.卵管留水症の術前診断で腹腔鏡下手術を行ったところ,直腸右側の後腹膜腔に囊胞性病変を認めた.腹腔内の広範な癒着のため囊胞全摘出は断念し穿刺,吸引のみに留め,病変の一部を病理に提出したところ成熟囊胞性奇形腫との病理結果であった.腹腔内腫瘍の鑑別診断としては後腹膜腫瘍の可能性も考慮し,入念な準備体制が必要であるものと反省させられる1例であった.
参考文献
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