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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科68巻4号

2014年04月発行

増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド

婦人科編 I 婦人科感染症・類縁疾患

硬化性苔癬/外陰潰瘍/Behçet病

著者: 川名敬1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座

ページ範囲:P.17 - P.19

文献概要

疾患の概念

硬化性苔癬(lichen sclerosis)

 従来は外陰萎縮症,白斑症という病名もあったが,現在は硬化性苔癬として統括されている.閉経期,閉経後,思春期前に好発する.左右対称性に発生し,赤色,白斑,硬化,陰唇の癒合,腟狭窄など多彩な臨床像を呈する.また,外陰上皮内腫瘍(vulvar intraepithelial neoplasia : VIN)や外陰癌を併発する場合や,移行する場合があるので注意を要する.硬化性苔癬は高齢者の外陰癌の発生母地であるという考え方もある.硬化性苔癬は,頻度は少ないものの高齢者では外陰癌の発生母地となりうることを忘れてはならない.

急性外陰潰瘍

 急性外陰潰瘍(LipSchütz潰瘍)は,腟内の細菌叢に対するアレルギー反応であると考えられているが,厳密には病因はわかっていない.性器ヘルペスとの鑑別が問題となる疾患であるが,肉眼的には鑑別は難しい.稀に口腔内アフタを併発することもあり,Behçet病との鑑別も難しい.

 若い女性の外陰部に,性交と関係なく1個から数個の有痛性の深くえぐれたような潰瘍が生じ,再発を繰り返して慢性に経過する.潰瘍は,特に大・小陰唇や会陰に多く発症するが,腟や子宮腟部に発症することもある.癌と間違えられることがあるが,自然に治癒することや,細胞診・組織診で悪性所見のないことから鑑別できる.再発は月経時に起きやすいので,内分泌環境の変化が誘因として考えられている.潰瘍は,瘢痕を残して2~4週間で自然治癒する.

Behçet病

 外陰潰瘍,口腔粘膜のアフタ性病変,虹彩炎の三主徴を示す疾患にBehçet病がある.Behçet病には,この三主徴がすべて揃う完全型と,その一部しかみられない不全型がある.本症では,種々の免疫学的パラメータに異常がみられるところから,自己免疫疾患と考えている学者が多い.HLA拘束性があるといわれている.病理組織学的には,真皮と皮下脂肪組織間の血管炎と,それに伴う脂肪織炎が主である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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