文献詳細
増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
婦人科編 II 内分泌・不妊
不育症―抗リン脂質抗体症候群/凝固因子の欠乏または低下
著者: 千島史尚1 市川剛1 山本樹生1
所属機関: 1日本大学医学部産婦人科学系産婦人科学分野
ページ範囲:P.83 - P.85
文献概要
不育症は,生殖年齢の男女が妊娠を希望し,妊娠は成立するが流産や早産を繰り返して生児が得られない状態と,産科婦人科用語集(日本産科婦人科学会編)には定義されている.流産を3回以上繰り返す習慣流産とほぼ同義語とも考えられるが,妊娠22週以降の胎内死亡や死産を繰り返す症例も包括する概念とされる.原因として,胎児側では,染色体異常が最も多い.母体側因子としては,子宮の形態異常,内分泌異常,血液凝固異常,感染症,自己免疫性疾患,染色体異常,抗リン脂質抗体症候群などがある.
抗リン脂質抗体には,抗カルジオリピン抗体,抗β2─GPI抗体,抗ホスファチジルセリン抗体,抗ホスファチジルエタノールアミン抗体,ループスアンチコアグラント(LAC)などがある.抗リン脂質抗体の出現頻度は10~20%である.抗リン脂質抗体症候群の診断基準は2006年に改訂されており,これにより診断する.
本稿では,薬物療法に関してエビデンスのあるもの,特に抗リン脂質抗体症候群,凝固因子の欠乏または低下について概説する.
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