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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科68巻4号

2014年04月発行

増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド

婦人科編 IV 腫瘍

卵巣がんの再発例への化学療法―プラチナ感受性

著者: 西野幸治1 榎本隆之2

所属機関: 1新潟大学医歯学総合病院産科婦人科 2新潟大学大学院医歯学総合研究科分子細胞医学専攻遺伝子制御講座生殖器官制御分野(産科婦人科)

ページ範囲:P.198 - P.200

文献概要

適応と治療方針

 卵巣がんは,固形がんのなかでは比較的抗がん剤感受性が高いがん腫であり,術後あるいは術前に行われるタキサン・プラチナを中心とした初回化学療法がいったんはよく奏効する.しかし,発見時にすでにIII,IV期の進行がんであることが多く,その半数~70%以上は再発するため,進行卵巣がんの予後は依然として厳しいといわざるをえない.

 再発後の治療については,初回化学療法の奏効期間(再発までの期間)が長く,かつ孤立性再発の場合などでは再発病巣の切除が選択される場合もあるが,そのような状況はごく限られており,治療の主体は化学療法に委ねられることになる.

 卵巣がんでは,最終化学療法から再発までの期間(platinum free interval : PFI)によりその後の抗がん剤感受性が異なることが報告されており,PFIに応じて治療方法を変えることが一般的である.PFIが6か月以上のものを「プラチナ感受性再発(platinum sensitive recurrence : PSR)」と呼び,一般に初回治療と同様のタキサン・プラチナ併用療法が奏効することが多い.また,近年プラチナのパートナーとしてタキサンに代わる薬剤も報告されており,タキサンの蓄積毒性がある場合などには有効な選択肢となっている.

 ただし,再発卵巣がんに対する化学療法の奏効期間は初回治療の奏効期間を超えることはなく,基本的には治療の目標が「Cure」ではなく「Care」や「延命」であることを忘れてはならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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