icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科68巻4号

2014年04月発行

増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド

婦人科編 IV 腫瘍

婦人科がんへの漢方療法

著者: 髙松潔1 仲村勝1 小川真里子1

所属機関: 1東京歯科大学市川総合病院産婦人科

ページ範囲:P.235 - P.239

文献概要

治療方針 薬物療法の概要と狙い

 がん患者の増加と近年の医学の進歩に伴う治療成績の向上により,いわゆるがんサバイバーは増加している.また,患者のQOLの維持・向上を視野に入れた治療の必要性が強調されるようになり,治療時の合併症や治療後に残存する不快な諸症状に対しての対応が不可避となっている.しかし,これらの諸症状に対して,西洋薬による対応には限界があることはよく知られているところであり,いわゆる統合医療として,西洋医学的治療法以外の治療が試みられている.なかでも漢方療法は従来から産婦人科領域で頻用されてきたこともあり,残念ながら直接的な抗がん作用を持つ方剤はないものの,その安全性や西洋薬と併用可能であることも考慮して,さまざまな状況で利用されている.

 本来,漢方療法は「証」に従って方剤が選択される「随証療法」をすべきものとされているが,「証」の考え方が西洋医学とはやや離れた概念であること,また,よく漢方療法は「中国四千年の歴史にもとづく」といわれるが,「癌」という漢字自体が近世の作といわれており,漢方療法が発祥した頃にはその概念がなかったと考えられることから,「症状」から選択する「随症療法」を行ったエビデンスにもとづき施行されている.

 なお,漢方療法のエビデンスについては,日本東洋医学会の「漢方治療エビデンスレポート2010─345のRCT(EKAT2010)」にもまとめられているので,参照いただきたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら