icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科68巻4号

2014年04月発行

増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド

産科編 VI 異常妊娠

妊娠高血圧症候群/子癇

著者: 関博之1

所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター

ページ範囲:P.255 - P.258

文献概要

疾患の概要

 妊娠高血圧症候群(pregnancy induced hypertension : PIH)は母体死亡や未熟児出生の原因疾患の1つであり,母児双方の予後に重要な影響を及ぼす疾患である.PIHの原因の詳細は不明であるが,two-stage disorder theoryが提唱され,かなり明らかになってきた.すなわち,immunogenic maladaptationによるabnormal placentationとその後のらせん動脈のremodeling障害により,低酸素状態が惹起され,絨毛細胞から抗血管新生因子(sFlt-1,sEng)が産生され,胎児胎盤循環や母体循環での血管内皮障害が発症する.血管内皮細胞障害によって惹起された血管攣縮と血液濃縮は,母体では高血圧,蛋白尿,凝固線溶系の亢進など,胎児では子宮内胎児発育遅延(intrauterine growth restriction : IUGR)や胎児機能不全などの臨床症状を発症させる.

 子癇は「妊娠20週以降に初めて痙攣発作を起こし,てんかんや二次性痙攣が否定されるもの.痙攣発作が起こった時期により,妊娠子癇,分娩子癇,産褥子癇とする」と定義される.その病態は,高血圧に伴う脳還流圧上昇が脳細動脈血管の脳循環自動調節能力(平均動脈圧が60~150 mmHgでは脳血流の恒常性が保たれている)を破綻させ,脳血管が強制的に拡張させられ,血液が血管外に漏出して脳浮腫を生じ,高血圧脳症(子癇)が発症すると考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら