icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科68巻4号

2014年04月発行

増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド

産科編 VIII 妊娠中のマイナートラブル

痔/便秘/下痢/胃腸炎

著者: 松田秀雄1

所属機関: 1松田母子クリニック

ページ範囲:P.320 - P.322

文献概要

疾患の概要



 妊娠中の子宮増大に伴い直腸周囲の血管が圧迫されることと,慢性的な便秘により痔核が発症すると考えられている.妊娠中に合併することが非常に多いので安易に捉えがちであるが,患者が訴える「いわゆる痔」には,時に裂肛・肛門周囲膿瘍・痔瘻などの手術を要する肛門周囲疾患が含まれている可能性があるので注意を要する.

便秘

 プロゲステロンによる腸管運動抑制作用と子宮の増大による物理的な圧迫が原因といわれる.ほとんどの妊婦が便秘を訴えるので,症状に応じた処方の工夫が必要である.過度の直腸内圧の亢進は,痔の悪化はもとより,稀ではあるが直腸憩室の形成などの思わぬ疾患の原因となりうるので注意が必要である.

下痢

 妊婦はしばしば消化不良が原因と考えられる下痢を訴えることがある.また,便秘により硬い便が出た後に下痢様の便が出ることがある.整腸剤の使用でも改善がみられない場合には,潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の可能性を検討する必要があり,肛門びらんなどのトラブルにも注意が必要である.

胃腸炎

 妊婦がノロウイルスなどの感染性胃腸炎や食中毒などに罹患する可能性もある.直近の海外渡航歴などがなければ,すなわち,本邦に稀な危険なウイルス感染症でなければ,原則として胎児に奇形などの影響が出ることはないと考えて対応してよい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら