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増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド 産科編 XI 産褥期のマイナートラブル
乳頭びらん/乳頭亀裂
著者: 有馬香織1 宮内彰人1
所属機関: 1日本赤十字医療センター産婦人科
ページ範囲:P.363 - P.364
文献購入ページに移動乳頭びらん・乳頭亀裂は,産褥初期の乳汁分泌がまだ不十分な時期に,不慣れな授乳方法や新生児の吸啜により発生し,乳頭潰瘍・乳腺炎に至る場合もある.乳頭トラブルは,母乳育児の妨げとなるため,予防・管理は重要である.
乳汁分泌は分娩後3~4日以降に亢進してくるが,乳頭裂溝や湿疹などによる乳管開口部の閉鎖,血管・リンパ管のうっ滞による乳管の圧迫,乳汁分解産物や脱落上皮による乳管の閉鎖などにより乳汁の排出障害が起こると乳汁のうっ滞が発生する.産褥初期に乳管の開口が不十分な場合に乳汁がうっ滞し,乳房の発赤や腫脹,疼痛などを訴えるのが乳汁うっ滞性乳腺炎である.乳汁のうっ滞・乳頭裂溝が誘因となり感染すると化膿性乳腺炎となる.
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