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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科68巻5号

2014年05月発行

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編集後記 フリーアクセス

著者: 神崎秀陽

ページ範囲:P.516 - P.516

文献概要

 わが国で開催される産婦人科関連の国際学会への参加者の動向にも,外交・政治情勢が色濃く反映されています.一昨年の政権交代以降では,中国および韓国から訪日して学会に参加する医師や研究者の数はかなり少なくなっている印象があります.特に中国については,公的な地位にある病院や大学関係の招請講演者の訪日が,中国政府からの強い指導で中止せざるを得ないこともたびたびあったようです.他方,東南アジア各国からの参加者は着実に増加しています.当然かもしれませんが,医学・医療も政治・経済と同様,国家間外交問題の影響を受けることが実感される出来事ですが,最近のウクライナおよびクリミアの情勢が示しているように,近年世界各地では民族主義の台頭が著しく,若い世代でもその傾向が強いため,一部の過激な行動が問題となっています.

 世界各地からの移民が混在して暮らしているカナダのような国では,各民族が伝統と誇りを失わないためのheritage festival(民族特有の伝統行事を誇示する祭り)が,定期的かつ盛大に行われています.ソビエト連邦の崩壊前にカナダのアルバータ大学にいた頃,ウクライナ人と自称する研究室のスタッフに連れられて,彼の所属するグループのheritage festivalに参加し,コサックダンスを見ながら食事をご馳走になったことがありました.私はそこで初めてウクライナが国家ではなくソ連邦の一部であることを知り,彼らのソ連邦あるいはロシア人への反感と敵意を知って非常に驚きました.日本のように,海で隔離されて地続きの国境がなく,国民の大多数が単一民族で構成されて平穏な時代が続いている国は世界でも稀なことを認識させられた懐かしい思い出です.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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