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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科68巻6号

2014年06月発行

雑誌目次

今月の臨床 性ホルモン製剤を使いこなす

ページ範囲:P.521 - P.521

アンドロゲン製剤の種類・特徴と使い方

著者: 秋下雅弘

ページ範囲:P.571 - P.576

●中高年男性のアンドロゲン低下は,女性の更年期と似た症状を呈するが,個人差が大きい.

●朝の血清遊離テストステロン濃度8.5 pg/mL未満でアンドロゲン補充療法を検討する.

●日本では製剤が限られ,2~4週ごとのエナント酸テストステロン注射が基本である.

Kaufmann療法とHRT

著者: 岡本真実子 ,   西田欣広 ,   楢原久司

ページ範囲:P.578 - P.581

●Kaufmann療法の具体的な方法 : 前半はエストロゲン製剤のみ,後半にプロゲスチン製剤を加える.

●HRTの適応と禁忌 : 症例ごとに問診を取り,背景をきちんと把握する.

●HRTに用いられるホルモン製剤 : それぞれに特徴があるため,症状に応じた製剤を用いる.

エストロゲン製剤

1.種類と剤形

著者: 福井淳史 ,   福原理恵 ,   水沼英樹

ページ範囲:P.522 - P.528

●エストロゲン製剤には経口製剤,経皮製剤,経腟製剤,注射剤があり,目的と適応に応じて使い分ける必要がある.

●経口エストロゲンに比べ経皮エストロゲン製剤は肝初回通過効果を受けず,副作用発現が少ないため,現在のホルモン補充療法の中心的存在になりつつある.

●子宮を有する女性においては,エストロゲン製剤と黄体ホルモンの同時ないし逐次併用を行う.

2.特徴と使い方

著者: 平池修 ,   藤井知行

ページ範囲:P.530 - P.537

●エストロゲン製剤投与には注射・内服・経皮・経腟の4経路がある.

●エストロゲン製剤の投与経路により生体反応が変化する.

●個々の製剤の特徴と効果を踏まえたエストロゲン補充が望ましい.

プロゲスチン製剤

1.種類と剤型

著者: 齊藤奈津穂 ,   山下能毅 ,   大道正英

ページ範囲:P.538 - P.543

●新しいプロゲスチン製剤が開発され,製剤の種類,投与量,投与法などの選択の幅が増えている.

●静脈血栓塞栓症に対する影響を有することを念頭に使用しなければならない.

2.特徴と使い方

著者: 木村文則

ページ範囲:P.544 - P.551

●プロゲスチンは,合成黄体ホルモン剤の総称であり,主にプロゲステロン誘導体とノルテストステロン誘導体に分けられる.

●産婦人科疾患に用いられるのは,主にプロゲステロン誘導体であり,排卵障害,不妊,子宮体がん,婦人科良性腫瘍の治療や早産の予防に用いられる.

●各プロゲスチンの特性を理解し,疾患ごとに使い分けることは非常に重要である.

EP合剤

1.中用量~高用量製剤の種類と使い方

著者: 宇都宮裕貴 ,   志賀尚美 ,   八重樫伸生

ページ範囲:P.552 - P.556

●EP合剤の最大のメリットは黄体ホルモン剤の服用忘れや服用時期間違いの防止である.

●さまざまなLEP製剤や経口避妊薬が発売され,中用量~高用量製剤の使用頻度は減少傾向にある.

●近年推奨されている低用量ホルモン補充療法と中用量~高用量EP合剤(経皮も含め)の役割分担を再検討すべきである.

2.LEPの種類と使い方

著者: 岡村佳則 ,   大場隆 ,   片渕秀隆

ページ範囲:P.557 - P.562

●低用量OCとLEP : いずれも卵胞ホルモン/黄体ホルモンを含有するが,使用目的がそれぞれ避妊,月経困難症と異なる.

●24/4 day regimen : 実薬内服を21日間から24日間に延長することで,休薬期間にみられる卵胞発育を抑制させる.

3.低用量OCの種類と特徴

著者: 岩崎信爾 ,   神山洋

ページ範囲:P.564 - P.570

●OCに使用されているホルモンの種類と特性を理解する.

●市販されている各種OCの違いと特性を理解し,より使用者のニーズに合った使い方ができるようにする.

連載 Estrogen Series

更年期後のホルモン療法―その利点と欠点

著者: 矢沢珪二郎

ページ範囲:P.583 - P.583

 更年期後のホルモン療法は臨床的に有用である.しかし,慢性疾患を目的とした使用には利点と欠点があり,そのバランスに関してはいまだに明瞭な結論はない.ここで取り上げる論文は,WHIでなされたホルモン試験を総合し,利点と欠点を比較検討しようとしたものである.

 対象となったのは,年齢50~79歳の27,347名の更年期後の女性である.試験対象の女性に対して,子宮が温存されている場合(n=8,506)にはconjugated equine estrogen(CEE)0.625 mgとmedroxyprogesterone acetate(MPA)2.5 mgを毎日服用した(プラセボではn=8,102).子宮摘出を受けた女性(n=5,310)ではCEE 0.625 mgのみを毎日服用した(プラセボ=5,429).平均追跡期間は5.6~7.2年であった.

教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール

卵巣癌Ia期の術後2か月で再発を認めた成熟囊胞性奇形腫悪性転化の1症例

著者: 中村涼 ,   森山明宏

ページ範囲:P.584 - P.588

はじめに

 卵巣癌は,組織型や分化度によっても異なるが,stage Iaの場合,再発の頻度は低いとされている.今回,成熟囊胞性奇形腫の悪性転化で,術後stage Iaと診断され,術後2か月で再発を認めた症例を経験したので報告する.

Obstetric News

経口避妊薬と静脈血栓塞栓症―カナダ産婦人科学会会告2013年

著者: 武久徹

ページ範囲:P.589 - P.592

 今回は,経口避妊薬と静脈血栓塞栓症についての2013年2月19日のカナダ産婦人科学会会告を紹介する.

今月の文献

The Society of Obstetrians and Gynaecologist of Canada : Position Statement : Hormonal Contraception and Risk of Venous Thromboembolism(VTE). 19 February 2013

症例

外陰Angiomyofibroblastomaの1例

著者: 山田新尚 ,   村瀬紗姫 ,   上田陽子 ,   山本志緒理 ,   石川梨佳 ,   田上慶子 ,   桑原和男 ,   佐藤泰昌 ,   横山康宏 ,   岩田仁 ,   高井紀子

ページ範囲:P.595 - P.598

要約

 血管筋線維芽細胞腫(angiomyofibroblastoma)は主に女性の外陰部に発生する比較的稀な間葉系腫瘍である.今回われわれは外陰部の巨大腫瘤を摘出,病理学的検査の結果,血管筋線維芽細胞腫と診断された1例を経験した.症例は53歳0経妊0経産,未婚.15年前に左外陰部腫瘤が出現し,近医でバルトリン囊胞と診断されていた.腫瘤感以外の自覚症状がないため,放置していた.その後次第に腫瘤は増大し,日常生活に支障をきたすようになったため,紹介にて当院を初診.左外陰部皮下に10 cm×7 cm大,無痛性,表面平滑,弾性軟,比較的可動性良好の充実性腫瘤を認めた.MRI所見はT1強調像で低信号,T2強調像では不均一な信号(低信号と高信号が混在)を示し,ガドリニウム造影T1強調像で強い造影増強効果を認めた.全身麻酔下左外陰腫瘍摘出術を施行.腫瘍の周囲組織への浸潤所見はなく,境界は明瞭であり,腫瘍直上の皮膚とともに摘出した.術中出血量は800 mLと予想以上であり,想定以上の大量出血も考慮し手術に臨むべきと考える.術後4年以上経過しているが,再発徴候は認めていない.

卵巣小細胞癌肺型の1例

著者: 山本真一 ,   齋藤理 ,   長船綾子 ,   松井純子 ,   永井孝 ,   山田千恵 ,   青木智英子 ,   吉田憲生 ,   伊藤誠 ,   水野美香

ページ範囲:P.599 - P.603

要約

 卵巣の小細胞癌は非常に稀な疾患であり,若年者に多い高カルシウム血症型と,閉経後に好発する肺型に大別され,両者とも予後不良とされる.症例は58歳女性.画像で骨盤内から腹腔内への腫瘍の進展,胸部・腋窩リンパ節転移をみとめ,卵巣癌の臨床進行期IV期と診断.経皮的組織生検を行い,免疫組織化学的検査にて,卵巣小細胞癌肺型の診断を得た.確立した治療法はないが,術前にCarboplatinとEtoposideによる化学療法を行い奏効したため,卵巣癌基本手術を実施,残存腫瘍に対して放射線治療を行い,寛解に至った.今回,集学的治療により生存延長につながったと考えられる卵巣小細胞癌肺型の1例を文献的考察を加え報告する.

薬の臨床

不妊外来における尿中hCG検出試薬の臨床的有用性に関する検討

著者: 塩谷雅英 ,   苔口昭次 ,   松本由紀子 ,   水澤友利 ,   山田聡 ,   緒方誠司 ,   岡本恵理 ,   安昌恵 ,   十倉陽子 ,   梶原綾乃 ,   片山和明 ,   伊原由幸 ,   江夏宜シェン

ページ範囲:P.605 - P.610

要約

 新規の尿中hCG検出試薬であるゴールドサインHCG・HKの感度ならびに特異性をクリアビューEASY HCGと基礎的,臨床的に比較した.低濃度hCGにおける反応性,hCG類似ホルモンとの交差反応,試験液のpHによる影響は両者に差がなく,臨床的な使用においてもその感度ならびに特異性において同等であった.したがってゴールドサインHCG・HKは尿中hCG検査薬として十分な機能を有していると考えられた.またゴールドサインHCG・HKは100 IU/Lを境界にして半定量的に用いることが可能であると考えられた.

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投稿規定

ページ範囲:P.612 - P.612

著作財産権譲渡同意書

ページ範囲:P.613 - P.613

バックナンバー

ページ範囲:P.614 - P.614

次号予告

ページ範囲:P.615 - P.615

編集後記

著者: 倉智博久

ページ範囲:P.616 - P.616

 最近のマスコミは,STAP細胞の話題で持ちきりです.新聞やテレビのニュースはもちろん昼のワイドショーや週刊誌なども含め,これほど多くのマスコミに登場する話題は他に記憶がありません.取り上げられる内容もSTAP細胞,STAP現象は実在するのか?というサイエンスとしての本質の部分はもちろん,論文中のデータの不正の有無を含め研究のあり方や論文執筆のルール,若い研究者の実情とそのおかれた立場の厳しさ,はたまた,小保方氏の会見時の服装や涙に至るまで,ワイドショー的な話題にも事欠きません.今回の騒動に対する我々の一致した見解は,理研と小保方氏を取り巻く著名な研究者への疑問と批判であると思われます.当初の会見では,発見された現象のサイエンスとしての意義にとどまらず,「割烹着をまとうリケジョの星」としても絶大な賞賛が与えられたのに,マスコミの豹変ぶりにも驚くばかりです.「全聾の作曲家が魂の旋律」と称賛された佐村河内さんへの賞賛と失望とも合わせ,我々は「物語り」を過剰に作り・消費するようになったという新聞記事(朝日新聞4月22日付)もありました.最近,ディオバンに関する臨床研究での不正など我々の周囲で様々な研究不正がマスコミをにぎわすようになりました.我々の学術活動の成果を広く一般国民にも知らせることが求められ,自身の研究成果をマスコミに積極的に発信すべきであることも事実です.また,我々の側にもマスコミを利用して自身を売り込むという意図もないとは言えないのかもしれませんが,マスコミの功罪とリスクには大いに考えさせられます.研究活動においては,根本的には何よりもサイエンティストとしての良心に基づいた行動が求められます.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

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今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

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今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

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今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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