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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科69巻1号

2015年01月発行

雑誌目次

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

著者: 小西郁生

ページ範囲:P.5 - P.5

 がん治療における標準療法の確立と均てん化を目指して,ランダム化比較試験の多施設共同研究およびがん拠点病院の整備が行われてきた.この臨床研究により確立された最も有効な治療法が「治療ガイドライン」を形成し,広く用いられている.この私たちの努力は今後も未来永劫にわたって続けられるであろう.一方,近年の包括的なゲノム発現解析,全ゲノム・シークエンシング技術の急速な進歩によって,一人ひとりの患者さんの「がんの個性」に応じて特異的な抗がん剤や分子標的薬を用いるという新たなストラテジーが登場した.また,遺伝性がんの領域では,遺伝カウンセリング−遺伝子診断から将来のがん発症リスクがわかる時代となり,検診のあり方やリスク低減手術など個別化に向かおうとしている.さらに,わが国で急速に進行する「少子化─晩婚・晩産化」に対応して,妊孕能温存がん治療や卵子凍結技術による妊孕能温存も注目されている.

 そこで,本特集では,婦人科がんの診断・治療・予防のさらなる個別化に焦点をあて,その基盤となる臨床エビデンスと包括的ゲノム解析について最新の情報を共有し,今後の方向性を模索することを目指した.各分野の専門家に執筆をお願いしたところ,臨床エビデンスとゲノム解析に関する最新のレビューをいただくことができた.今回,婦人科がん領域における「個別化がん医療personalized oncology」を展望できる素晴らしい特集ができあがったと確信している.

【総論】

1.ゲノム解析に基づく婦人科がん治療を展望する

著者: 小西郁生

ページ範囲:P.6 - P.14

●がんのゲノム解析に基づく個別化治療(precision medicine)が求められている.

●個別化を目指す多様な視点─がん微小環境,がん免疫,がん幹細胞─を探求する必要がある.

2.婦人科がんのシグナル解析と分子標的治療の未来

著者: 小島淳美 ,   杉山徹

ページ範囲:P.15 - P.21

●がんに起こる遺伝子変異には,がんの発生や進展に強くかかわるドライバー変異と,付随的な結果として生じるパッセンジャー変異があり,ドライバー変異を標的とした薬剤では高い奏効率が期待される.

●分子標的治療薬として,がん細胞自身に存在する分子だけではなく,がん環境の分子を標的とした創薬も進んでおり,その代表が血管新生阻害薬である.

●分子標的薬の使用においてはバイオマーカーの探求とvalidationを念頭におく必要がある.

3.婦人科がんに対する免疫療法の開発と将来展望

著者: 柴田清住 ,   吉川史隆

ページ範囲:P.22 - P.27

●がん特異的免疫療法 : がん細胞だけがもつ特定の抗原を見つけ,それを攻撃する免疫機能を活性化して治療する方法.

●がん免疫逃避機構 : がんが免疫細胞からの攻撃を逃れるために備えもった能力.

●がん特異的抗原 : がん細胞にある物質,がん細胞が分泌する蛋白などの物質で,正常細胞には発現しない.

4.婦人科がん治療後のQOL向上を目指して

著者: 高橋一広 ,   杉山晶子

ページ範囲:P.28 - P.33

●生存率の高いがんのサバイバーの死亡原因の多くは,心血管系疾患によるものである.

●両側卵巣摘出により,心血管系疾患の発生頻度は増加し,生命予後も悪化する.

●がんサバイバーのメタボリックシンドローム発症予防のため,血圧,脂質代謝,糖代謝のチェックが必要である.

5.婦人科がん患者の緩和ケアとその個別化に向かって

著者: 藤村正樹

ページ範囲:P.34 - P.39

●婦人科領域の緩和医療には女性に特有の緩和医療が存在する.

●特に,女性の社会的立場を背景としたさまざまな社会的・精神的苦痛に注意を払い,時には積極的な医療者の介入も必要である.

●緩和医療の個別化には,NBM,すなわち患者一人ひとりの人生の物語に寄り添う考え方が大事である.

6.小児・思春期がんの妊孕性温存

著者: 吉岡伸人 ,   鈴木直

ページ範囲:P.40 - P.45

●がん治療成績の向上により小児がんサバイバーが増加しているため,妊孕性温存に対する関心が高まっている.

●小児・思春期がんの妊孕性温存は,婦人科診察の限界,MRD(卵巣組織内の遺残がん病巣)への注意が必要である.

●小児・思春期がん患者への妊孕性温存は問題点も多く,今後の検討・改善が必要である.

【各論1】子宮頸がん

1.HPVタイピングと子宮頸部病変取扱いの個別化

著者: 藤井多久磨 ,   市川亮子 ,   鳥居裕

ページ範囲:P.46 - P.52

●HPV検査 : わが国ではHPV検査には,核酸検出法,核酸検出法(簡易ジェノタイプ判定),ジェノタイプ判定法の3種類がある.

●HPV併用検診 : 欧米ではHPV検査の検診への導入が進んでいるが,わが国でのHPV検査の妥当性はこれから評価される.

●CINの管理 : HPVジェノタイプ法によりCIN1/2の管理を行うことが可能となった.

2.若年子宮頸がんに対する妊孕能温存手術の個別化

著者: 西尾浩 ,   田中京子 ,   岩田卓 ,   青木大輔

ページ範囲:P.53 - P.58

●広汎性子宮頸部摘出術は妊孕能温存を希望する患者に対して行う非標準術式であり,症例ごとに適応を検討し,順守する必要がある.

●標準治療にはない合併症の可能性,妊娠するために生殖補助医療が必要になる可能性や早産のリスクを説明する必要がある.

●摘出標本の病理結果に基づき,症例ごとに追加治療の要否を検討する必要がある.

3.子宮頸がんに対する同時化学放射線療法の今後

著者: 戸板孝文 ,   粕谷吾朗 ,   有賀拓郎

ページ範囲:P.59 - P.62

●同時併用薬剤の強化とともに遠隔転移予防を主眼とした抗がん剤の継時的(sequential)投与が注目されている.

●ベバシズマブなどの分子標的薬追加による効果が期待されている.

●CCRTの主治療である放射線治療の最適化は最も重要な課題である.

4.再発子宮頸がんに対する個別的アプローチ

著者: 河野光一郎 ,   牛嶋公生

ページ範囲:P.63 - P.69

●照射野内再発は難治性で化学療法の奏効率は照射野外と比べて低い.手術は侵襲が大きく合併症の問題もあるが,長期生存報告例がある.

●照射野外再発は場所と個数により,手術もしくは放射線療法が可能かの検討が必要である.不可の場合は化学療法を選択する.

●化学療法はタキサン+プラチナ製剤が標準治療であるが,ベバシズマブを含めた分子標的療法の併用に期待がもてる.

【各論2】子宮体がん

1.子宮体がんにおけるMELFパターンの病理と臨床

著者: 三上芳喜

ページ範囲:P.70 - P.74

●類内膜腺癌はMELF(microcystic,elongated,fragmented)型浸潤を示すことがある.

●MELF型浸潤を伴う類内膜腺癌では,脈管侵襲,リンパ節転移(微小転移,ITC)の頻度が高いが,長期予後への影響は明らかでない.

●生物学的には,MELF型浸潤はEMT(epithelial-mesenchymal transition)を反映する現象である可能性がある.

2.子宮体がん手術におけるリンパ節郭清の個別化

著者: 渡利英道

ページ範囲:P.75 - P.80

●リンパ節転移リスクのない(低い)集団に対しては,リンパ節郭清自体を省略するのが最も合理的であり,リンパ節郭清の省略が可能な集団を選択するための術前リンパ節転移予測モデルが提唱されつつある.

●リンパ節転移リスクを有する集団に対しては,リンパ節郭清の治療的意義を検証するための前方視的な臨床試験を実施するべきである.正しい結論を導くためには,適切な対象集団の選択,リンパ節郭清の質的担保,術後治療の標準化などが重要である.

3.子宮体部漿液性腺癌のゲノム解析と新治療開発

著者: 馬場長 ,   ,   小西郁生

ページ範囲:P.81 - P.87

●子宮体がんの予後不良組織型の1つである漿液性腺癌は,独自の遺伝子発現プロファイルを示す.

●ゲノム解析によりバイオマーカーの探索や新規治療の開発が始まっている(トランスレーショナル研究).

●臨床応用には再現性の確認が課題となっている.

4.子宮体がんIV期の治療個別化を模索する

著者: 衞藤貴子 ,   齋藤俊章

ページ範囲:P.88 - P.94

●IVB期体がんであっても,類内膜腺癌G1/G2など,予後が比較的良好な症例が存在する.

●全身状態良好な症例では,遠隔転移の有無にかかわらず,腹腔内腫瘍減量術を考慮すべきである.

●初回に腫瘍減量術が不可能な症例であっても,術前化学療法が有効であれば,予後改善の可能性がある.

5.子宮肉腫(平滑筋肉腫)の病態と分子標的治療─ゲノム解析に基づく新たな展開

著者: 吉田好雄

ページ範囲:P.96 - P.105

●稀少性と,多様性のある腫瘍である.細胞代謝・細胞構造・シグナル伝達・細胞周期などに関する多くの遺伝子異常を有する.

●発生病態は依然不明である.しかし,一部の子宮平滑筋肉腫と平滑筋腫は共通の遺伝子異常を認める.

●血管新生阻害薬・ホルモン療法(アロマターゼ阻害薬)などの分子標的薬の有効性が検討されている.これらの治療効果予測バイオマーカーとして,分子イメージング診断法の開発が今後期待される.

【各論3】卵巣がん

1.卵巣がんに対する妊孕性温存手術の個別化

著者: 天神林友梨 ,   佐藤豊実

ページ範囲:P.106 - P.112

●卵巣癌IA期G1/G2には妊孕性温存手術の選択が推奨できる.

●卵巣癌IA期明細胞腺癌には妊孕性温存手術選択を推奨できる可能性が高い.

●卵巣癌G3は妊孕性温存手術を行うことで予後を不良にする可能性があり,この選択は推奨できない.

2.high-grade漿液性腺癌のゲノム多様性について

著者: 松村謙臣 ,   小西郁生

ページ範囲:P.113 - P.117

●The Cancer Genome Atlasによって,卵巣高異型度漿液性腺癌のゲノム多様性が明らかとなった.

●遺伝子発現プロファイルによって,予後と関連するmolecular subtypeの同定が可能となった.

●遺伝子発現プロファイルによって,ベバシズマブなどの有効性を予測できる可能性がある.

3.low-grade漿液性腺癌の臨床病理・ゲノムと治療法

著者: 本原剛志 ,   坂口勲 ,   片渕秀隆

ページ範囲:P.118 - P.123

●2004年にMD Andersonの研究グループは,卵巣漿液性腺癌をlow-gradeとhigh-gradeに分ける2段階の悪性度分類に基づく病理組織学的診断基準を提唱した.

●既存の抗がん剤に対して抵抗性を示すlow-grade漿液性腺癌では,MAPKシグナル経路の一連の活性化がみられており,これらのシグナル経路を標的としたMEK阻害薬の有効性が明らかにされた.

●卵巣がんに対する分子生物学的特性を基盤とした病態解明は,新規分子標的薬というツールを通じて,将来的な個別化治療へと展開されることが期待される.

4.明細胞腺癌の生物学的特性と分子標的治療

著者: 万代昌紀 ,   山口建 ,   松村謙臣 ,   小西郁生

ページ範囲:P.124 - P.129

●明細胞腺癌の遺伝子変化

●HNF-1βの過剰発現

●ARID1A遺伝子の変異と発現消失

●PI3K/AKT/mTOR経路の活性化

5.遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)への個別対応

著者: 谷口智子 ,   高橋顕雅 ,   竹島信宏

ページ範囲:P.130 - P.134

●HBOCの疑いのある患者を日常診療のなかでどのように拾い上げるか,どのタイミングで家族歴を確認するのか.

BRCA変異陽性者のサーベイランスをどのタイミングで行うか,項目は何か.

●リスク低減卵巣卵管切除術について : どのタイミングでどのような手術を行うべきか,手術時の注意点は何か.

連載 FOCUS

腹腔鏡下仙骨腟固定術─骨盤臓器脱─戦国時代を生きる

著者: 市川雅男 ,   関根仁樹 ,   可世木華子 ,   小野修一 ,   峯克也 ,   明楽重夫

ページ範囲:P.137 - P.141

はじめに

 現在の骨盤臓器脱治療の世界は,新旧含めて多種多様な術式が混沌として存在し,どの治療法が勝ち残るのかわからない戦国時代のようである.そして,このような急激な治療法の変化に伴い,かつて産婦人科医にとって身近な疾患であった骨盤臓器脱は,いまや遠い存在に変わりつつある.こうした現状は,現代骨盤臓器脱治療における大きな問題である.その解決手段として注目されているのが腹腔鏡下仙骨腟固定術(laparoscopic sacrocopopexy : LSC)である.今回,われわれが紹介するLSCは,従来の術式(ダブルメッシュLSC)よりも大幅に簡素化され,腹腔鏡の基本手技があれば誰でもできる簡単な術式となっている.したがって,この術式をマスターすることにより,多くの産婦人科医が再び骨盤臓器脱治療に取り組むことができる.それにより,現代骨盤臓器脱治療が大きく発展することが望まれる.

教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール

子宮筋腫として経過観察中に急激に悪化する子宮肉腫を発症した症例

著者: 佐藤孝

ページ範囲:P.142 - P.146

はじめに

 子宮肉腫は良性の子宮筋腫との鑑別を要するが,特に変性子宮筋腫とは画像上鑑別が困難なことも多い.近年,子宮筋腫はホルモン療法などを行いながら保存的に経過をみることも多いが,その際に肉腫との鑑別には注意を要する.

 今回,子宮筋腫として6年以上経過観察中に子宮肉腫を発症し,急激に悪化した症例を経験したので報告する.

Obstetric News

Choosing Wisely®

著者: 武久徹

ページ範囲:P.147 - P.149

 American Board of Internal Medicine(米国内科専門医認定機構)財団(ABIM Foundation : ABIM)は,2011年末から,医療資源の有効活用と患者への至適医療の提供などを目的とする“Choosing Wisely®”キャンペーンを行っている.

 一般的に行われている検査や治療が必要かどうかについて,検討すべき5つのリストの作成を各医学団体に要請し,2012年4月の“Choosing Wisely®”開始以来,60以上の医学団体が同キャンペーンに参加している.詳細は公式サイト“Choosing Wisely®”で閲覧できる.

Estrogen Series

更年期以前の乳癌に対する卵巣機能抑制とexemestaneの補助的使用について

著者: 矢沢珪二郎

ページ範囲:P.150 - P.151

 われわれ産婦人科医は日々成人女性に接している.女性の癌で最も多いものは乳癌で,悪性腫瘍による女性死亡の第一の原因である.産婦人科医はもっと女性の乳房に関心をもってもよいのではないか? 乳房に関心を持つことにより,乳癌早期発見を現在よりもっと充実させ,将来の産婦人科という限られた専門領域の展望に新分野をつけ加えることができるのではないだろうか?

 米国では乳癌発見時に50歳以下の女性は21%を占める.その中で,最も多いタイプはホルモン受容体陽性のもので,これは近年増加傾向にある.更年期以後のホルモン受容体陽性の乳癌に対しては,タモキシフェンよりもアロマターゼ抑制薬のほうが有効であることが判明している.それでは,更年期以前の乳癌に対しては,このexemestaneとタモキシフェンの薬剤両者のうち,どちらがより有効であろうか? この疑問に答えるために,最近TEXTおよびSOFTと呼ばれる大規模無差別試験の結果が発表された.

症例

大量出血をきたした巨大な子宮筋腫患者を緊急microwave endometrial ablationにて止血,治療した例

著者: 辻芳之 ,   伊藤宏一 ,   野坂舞子 ,   久保田陽子 ,   加藤浩志 ,   伊田昌功

ページ範囲:P.153 - P.155

要約

 急性大量出血を発生した巨大な頸部子宮筋腫核と臍部の高さにある粘膜下筋腫をもつ全長20 cmある子宮筋腫患者に対して緊急マイクロ波子宮内膜アブレーション(microwave endometrial ablation : MEA)を行い,ただちに止血することができた.一見,即効的な治療が困難と思われる巨大な子宮筋腫の急性大量出血であっても,侵襲的な治療を選ぶ前にMEAによる止血操作を試みてもよいと思われる例として報告する.

タモキシフェン服用後に発症した子宮体部漿液性腺癌IVB期の1例

著者: 林嘉信 ,   青柳いくみ ,   下釜達朗 ,   金城満

ページ範囲:P.157 - P.161

要約

 タモキシフェンは乳癌術後の再発予防に汎用されているが,長期服用により子宮体癌を増加させることが知られている.今回われわれはタモキシフェン服用後に,子宮体部漿液性腺癌を手術進行期IVB期で発症した1例を経験したので報告する.症例は54歳,43歳で乳癌手術後7年間タモキシフェンを内服していた.タモキシフェン内服終了後4年経過時の婦人科検診において,骨盤MRIおよびCTで子宮内膜癌,腹膜播種,骨盤リンパ節転移が疑われた.腹式単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術,骨盤リンパ節郭清,大網切除を施行した.病理組織所見では,骨盤リンパ節および大網転移陽性であった.免疫組織染色では,エストロゲンレセプター陰性,p53陽性で,子宮体部漿液性腺癌Grade3,手術進行期IVB期,pT3aN1M1であった.タモキシフェン内服終了後も,予後不良な子宮内膜癌発症のリスクが持続することを念頭において,継続的管理を行うことが必要であり,副作用と有用性のバランスを考えてタモキシフェン投与の適否を決定すべきである.

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投稿規定

ページ範囲:P.162 - P.162

著作財産権譲渡同意書

ページ範囲:P.163 - P.163

バックナンバー

ページ範囲:P.164 - P.164

アンケート用紙

ページ範囲:P.165 - P.165

次号予告

ページ範囲:P.167 - P.167

編集後記

著者: 藤井知行

ページ範囲:P.168 - P.168

 最近,東南アジアや南アジアの国々に行く機会が増えました.そこで改めて感じるのは,日本人の誠実さであり,仕事の正確さです.ホテルの予約をインターネットで行い,支払いもクレジットカードで済ませて,その確認書まで受け取っているのに,実際にそこに行ってみたら予約が入っていないと言われたことが2回ありました.1回目は,何故か,同行した私の妻の名前で予約が入っていることが分かり,15分ほど不安な時間を過ごしましたが,無事にそのホテルに泊まることができました.2回目は,どうしても私の名前がありません.20分ほどホテルのフロントが方々に電話をかけ,結局分かったのは,別のホテルに予約がされているということでした.訪問先が私に気を利かせてホテルを予約してくれたのはありがたいのですが,私自身がした予約を先方の判断でキャンセルし,その上,私に何の連絡もしていなかったのです.荷物を抱えてタクシーで別のホテルに移動することとなりました.どちらも日本では考えられないことですが,こうした国々ではそれほどたいしたことではないようで,謝罪もありませんでした.ただ,そのまま外に放り出されることはありませんでしたし,彼らは親切に対応してくれました.ミスがあるのは仕方がないこととして,そこで誠意をもって手立てをすればいいと考えているような感じがしています.また,日産婦学会のFIGO招致会議で,日本のアピールポイントとして,安全であることが挙げられました.日本では年間20億円以上の現金が遺失されていますが,約74%が落とし主に戻っているということです.このような国が他にあるでしょうか.日本人は本当にまじめな国民なのだと思います.また,東南アジアのある国では,命が危ないから絶対に流しのタクシーに乗ってはいけないと,その国の人に言われたことがあります.安全で,安心,仕事は確実に行われ,ミスはほとんどないという日本の社会は世界に誇るべきものと思います.どうか,この素晴らしい国民性が将来も続いてほしいと思います.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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71巻11号(2017年11月発行)

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

71巻10号(2017年10月発行)

今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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