文献詳細
症例
タモキシフェン服用後に発症した子宮体部漿液性腺癌IVB期の1例
著者: 林嘉信1 青柳いくみ1 下釜達朗2 金城満2
所属機関: 1製鉄記念八幡病院産婦人科 2製鉄記念八幡病院病理診断科
ページ範囲:P.157 - P.161
文献概要
タモキシフェンは乳癌術後の再発予防に汎用されているが,長期服用により子宮体癌を増加させることが知られている.今回われわれはタモキシフェン服用後に,子宮体部漿液性腺癌を手術進行期IVB期で発症した1例を経験したので報告する.症例は54歳,43歳で乳癌手術後7年間タモキシフェンを内服していた.タモキシフェン内服終了後4年経過時の婦人科検診において,骨盤MRIおよびCTで子宮内膜癌,腹膜播種,骨盤リンパ節転移が疑われた.腹式単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術,骨盤リンパ節郭清,大網切除を施行した.病理組織所見では,骨盤リンパ節および大網転移陽性であった.免疫組織染色では,エストロゲンレセプター陰性,p53陽性で,子宮体部漿液性腺癌Grade3,手術進行期IVB期,pT3aN1M1であった.タモキシフェン内服終了後も,予後不良な子宮内膜癌発症のリスクが持続することを念頭において,継続的管理を行うことが必要であり,副作用と有用性のバランスを考えてタモキシフェン投与の適否を決定すべきである.
参考文献
掲載誌情報