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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科69巻3号

2015年04月発行

連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール

異所性妊娠に対する腹腔鏡手術後に臍創部から腹腔内出血をきたした症例

著者: 松村慶子1 香川秀之1

所属機関: 1関東労災病院産婦人科

ページ範囲:P.345 - P.349

文献概要

はじめに

 腹腔鏡手術後に腹腔内出血を認めた場合,どこからの出血を思い浮かべるであろうか.まずは手術を行った子宮や卵巣の切除断端や剝離面からの出血であろう.止血が不十分だったか,縫合が有効ではなかったかと考えるに違いない.もし断端部や剝離面の止血を十分に行った自信があった場合,次に疑うのはどの部位からの出血であろうか.腹腔内操作の際に鉗子で臓器を傷つけてしまったか,腸管か,大網か,血管にしては術中に出血はなかったな…と思いを巡らせていく.第1トロッカーを挿入した臍創部からの出血を考えることは,何番目に来るだろうか.

 今回われわれは,腹腔鏡手術後にダグラス窩に留置したドレーンから持続出血を認めたため再手術を施行したところ,臍創部の腹膜からの出血が原因であった症例を経験したので報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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