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原著
当院における特発性血小板減少性紫斑病合併妊娠の検討
著者: 穀内香奈1 大門篤史1 藤田太輔1 箕浦彩1 岡本敦子1 田吹邦雄1 田中健太郎1 佐野匠1 渡辺綾子1 鈴木裕介1 神吉一良1 寺井義人1 大道正英1
所属機関: 1大阪医科大学産科・生殖医学科
ページ範囲:P.353 - P.357
文献購入ページに移動特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura : ITP)合併妊娠では,妊娠中および分娩時の出血のリスクが上昇し,時に新生児血小板減少症を発症する場合があるため,厳重な管理が必要である.
当院で経験したITP合併妊娠10症例14妊娠について検討した.分娩時の出血量は380±457 mL,分娩時の血小板数は9.14±4.15×104/μLであった.14妊娠中分娩までに薬剤使用がなかったのは8妊娠,プレドニゾロン(PSL)使用は6妊娠,γグロブリン製剤を使用したのは2妊娠であった.また3妊娠で血小板輸血が必要となった.血小板輸血が必要であった症例ではプレドニゾロン,γグロブリン製剤投与を施行するも奏効せず,分娩時出血量が有意に増加した.よってITP合併妊娠の治療群においては,血小板輸血の準備はもちろんのこと,血小板数の推移を厳重に管理し,分娩時の大量出血に備えた体制を整える必要があると考えられた.
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