臨床婦人科産科69巻6号

2015年06月発行

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date 女性のライフステージに沿った検診の重要性

2．妊婦における乳がん検診

著者： 土橋一慶¹ 赤川元²

所属機関： ¹千川産婦人科医院 ²赤川クリニック

ページ範囲：P.512 - P.518

●妊婦・褥婦に合併した乳がんの予後が悪い理由の1つに，妊娠から産褥期における乳房の劇的な生理学的変化によって，発見が遅れることが挙げられる．

●妊娠中に予後不良な浸潤癌を早期に発見するためには，視・触診法では不十分で，乳房超音波検査法を併用したスクリーニング法が効果的と思われる．

●腫瘤性疾患の鑑別のためには，妊娠による生理学的乳腺・乳房変化，線維腺腫に代表される良性疾患の妊娠性変化などを理解するとともに，鑑別診断には針生検などの手技が必要になることが多い．

参考文献

1） Petrek JA et al : Prognosis of pregnancy-associated breast cancer. Cancer 67 : 867─872, 1991

2） Zemlickis D, et al : Maternal and fetal outcome after breast cancer in pregnancy. Am J Obstet Gynecol 166 : 781─787, 1992

3） 赤川　元，他 : 超音波を併用した妊婦乳房検診の有用性の検討．日乳癌検診学会誌12 : 193, 2003

4） Slavin JL, et al : Nodular breast lesions during pregnancy and lactation. Histopathology 22 : 484─485, 1993

5） Baker TP, et al : Lactating adenoma : a diagnosis of exclusion. The Breast J 7 : 354─357, 2001

6） Saglam A, et al : Coexistence of lactating adenoma and invasive ductal adenocarcinoma of the breast in a pregnant woman. J Clin Pathol 58 : 87, 2005

7） 木下智樹，他 : 乳腺の線維腺腫─組織亜型分類とその経年的変化について．乳癌の臨床6 : 377─383，1991

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