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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科7巻13号

1953年12月発行

文献概要

症例研究

下腹痛を主訴とせる肥大卵巣下垂例

著者: 富松俊行1 成田富士郎1

所属機関: 1福島醫大産婦人科學教室

ページ範囲:P.884 - P.886

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緒言
 産婦人科醫を訪れる患者のうち腹痛を主訴とする者の多い事は周知の通りであるが,腹痛は産婦人科的疾患から來る場合と,その他一般内外科疾患等による場合とある爲に,特に類症鑑別に留意する必要ある事は言う迄もない。而して此等の類症鑑別に際し,内診所見を知り得る我々産婦人科醫は,他科の醫師よりは遙かに有利なる條件を有する強みがある。それでも尚原因不明で,しかも慢性の疼痛を訴える一群の疾患が婦人科領域に存在し,毎常その適確なる診断及び治療に困惑させられるものである。急性腹痛を主訴とするものは屡々重症疾患の徴候である事があり,確診を下し得ない場合は試驗開腹の適應となる事が多いが,慢性の場合には保存的療法に終始する事が多い。しかし別の目的で開腹して初めて慢性腹痛の原因を確め得た例も少くない。
 最近當教室に於て,頑固な下腹痛を主訴とし,確實なる診斷を下し得ぬまゝに卵管結紮も行う目的で開腹し,開腹の結果,骨盤鬱皿,子宮及び子宮頸鬱血並びに所謂嚢腫性卵巣下垂症の確診を得その爲に慢性の下腹痛を惹起したと思われる1例を經驗したので,こゝに報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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