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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科7巻2号

1953年02月発行

症例研究

初期子宮體部癌で見た骨盤内淋巴結節轉移像

著者: 中島精1 原田肇1 川中子止善1

所属機関: 1慶大醫學部産婦人科教室

ページ範囲:P.89 - P.94

文献概要

 本例は不正性器出血を主訴とする4回經産53歳の婦人である。内診した處では癌腫を思わせる如き變つた點は無く,子宮周圍結締織にも浸潤を認めなかつた。如斯く他覺的局所所見に缺けてるので,一時は心身症を疑つた程であつたが,患者が如何にも子宮癌を憂慮し懸念するので,腟塗抹検査を行つたら癌細胞を證明し試驗的内膜掻爬による組織検査の結果は,意外にも子宮體部癌であることが判明した。審査標本所見は後に述べる術後子宮體部腺癌原發巣(第1,2圖)と大同小異なので茲では其の説明を省略する。
 其處で不取敢手術と云う段取になつたが,之迄の經驗によると可成り早期と思われる體部癌でありながら,骨盤内淋巴結節轉移を起してる例に屡々遭遇してるので,本例は臨床上頸癌で云えば第1期に該當する體部の初期癌であるが,此の場合も恐らく淋巴結節轉移があるものと豫想し,腹式廣汎性子宮全剔除術を行つた。のみならず體癌は頸癌に比べ卵管又は卵巣へ轉移する可能性が多いので,子宮附屬器も殘さず除去した。然し既述の如く臨床所見から云えば,極めて早期の癌であつただけに手術も平易に濟み,術後の經過も順調であつた爲め間も無く元の健康を取戻し得るかに見えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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