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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科7巻3号

1953年03月発行

速報豫報

Relaxin説に關する再檢討

著者: 尾島信夫1 辻昇1

所属機関: 1慶應大學産婦人科教室

ページ範囲:P.170 - P.171

文献概要

緒言
 妊娠時恥骨結合及び仙腸關節に潤軟離開等が生じ,恥骨結合部及び仙腸關節部に自發痛乃至壓痛を訴え,高度の場合には歩行困難,分娩後の完全恥骨結合離斷等をも生ずることがあることは多數臨床家の認めるところである。其原因に關しては,分娩時最も著明に恥骨結合の弛緩を生ずる海猽に關する實驗的研究から,恐らく妊娠に伴う内分泌關係の變化が主因であらうと説明せられている。海猽の恥骨結合離開に關しては,Hi-sawが1926年以來提唱しているRelaxin説が最も有名である。即ち豚の黄體より抽出せられた特殊な黄體ホルモンの一種であるRelaxinが著明に海猽恥骨結合を離開し,Estrin及びProgestinにばかかる作用を認めないと言う。之に關しては賛否の諸説があり,Clanberg(1931)はRelaxinの如き特殊な黄體ホルモンの存在を疑い,金澤醫大笠森教室(1932)では胎盤より抽出せられたGestations hormonと稱する特殊ホルモンに本作用を認め,Möhle(1933)は卵胞ホルモン前處置後の黄體ホルモンの作用なりとし,Tapfer及びHaslhofer等(1935)は全く黄體ホルモン作用を否定して卵胞ホルモンの特殊作用に帰した。然し現行の成書に於ては(例えばHoffman,Stande,Curtis等)或程度の疑を殘しつつもHisawのRelaxin説を採用している樣である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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