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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科70巻10号

2016年10月発行

文献概要

連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール

子宮動脈塞栓術施行後2日で血流が再開し,再塞栓術を行った子宮頸管妊娠の1例

著者: 田村充利1 上田江里子1

所属機関: 1沖縄県立南部医療センター・こども医療センター産婦人科

ページ範囲:P.968 - P.974

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症例
▶患者

 17歳,1経妊0経産(人工妊娠中絶1回).
▶主訴

 子宮頸管妊娠による出血として他院から救急搬送.
▶既往歴

 特記すべきことなし.
▶現病歴

 最終月経はX−2月下旬かX−1月上旬頃ではっきりしない.X月10日に自分で行った市販の妊娠反応が陽性で,X月15日に前医を受診した.超音波検査で子宮内腔に胎囊を確認できなかった.この日のhCG値は539mIU/mLであった.X月22日の前医の外来で子宮頸管内に径1cmの胎囊様腫瘤像を認めた.子宮頸管異所性妊娠が疑われたが,出血や下腹部痛がなかったため,翌日に当科の新患外来に紹介する予定として帰宅した.同日夜19時頃,ドライブ中に急に車の座席が濡れるほどの性器出血が起きたため,前医に連絡し,前医に受診.その後,当院へ救急搬送となった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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