臨床婦人科産科70巻4号

2016年04月発行

増刊号 ─知りたい最新情報がすぐわかる！─不妊・不育症診療パーフェクトガイド

2．不妊症の検査・診断 《男性因子》

精液検査の実施法と評価法

著者： 伊熊慎一郎¹ 田中温¹

所属機関： ¹セントマザー産婦人科医院

ページ範囲：P.89 - P.94

文献概要

Point
◉精液採取は，検査施設内の採精室で行うことが望ましい．1回目に精液所見に異常があったとしても，その時点で診断せずに3か月後に再度検査を行い，診断を行う．
◉精子濃度，運動率，運動形態観察，精子凝集，精子以外の細胞成分を顕微鏡的に評価する場合は，位相差顕微鏡が適している．特に，運動率測定では37℃の保温ステージ上での検査が望ましい．
◉検査の結果，重度の乏精子症，極少数精子，奇形精子症，無精子症と診断した場合は，男性不妊を専門とするART施設に速やかに紹介することが望ましい．

参考文献

1）山口千恵子 : 精液検査の実際．柴原浩章（編） : エビデンスを目指す不妊・不育外来実践ハンドブック．pp92─99，中外医学社，2009

2）World Health Organization : Laboratory manual for the examination and processing of human semen, 5th edition. Cambridge University Press, New York, 2010

3）日本泌尿器科学会（監） : 精液検査標準化ガイドライン．金原出版，2003

4）片寄治男 : 精子機能検査法・精液調整法．日本哺乳動物卵子学会（編） : 生命の誕生に向けて第2版．pp87─95，近代出版，2011

5）World Health Organization : Laboratory manual for the examination and processing of human semen, 4th edition. Cambridge University Press, New York, 1999

6）日本生殖医学会（編） : 生殖医療の必修知識．pp141─143，一般社団法人日本生殖医学会，2014

7）Watanabe S, et al : An investigation of the potential effect of vacuoles in human sperm on DNA damage using a chromosome assay and the TUNEL assay. Hum Reprod 26 : 978─986, 2011