臨床婦人科産科70巻4号

2016年04月発行

増刊号 ─知りたい最新情報がすぐわかる！─不妊・不育症診療パーフェクトガイド 6．生殖補助医療

胚移植法の方法とコツ

著者： 加藤恵一¹ 長田尚夫¹² 寺元章吉²

所属機関： ¹加藤レディスクリニック ²Natural ART Clinic日本橋

ページ範囲：P.237 - P.246

Point
◉胚移植前に，着床障害の原因になる事項〔子宮内膜の厚さ，ホルモン（E₂，P₄，LH），卵管水腫の有無，子宮内小病変の有無，子宮内腔pooling（帝王切開瘢痕症候群）など〕をチェックし適切に対応する．
◉カテーテルの外筒を用いて胚移植を行う場合，超音波にて子宮頸部の長さ・屈曲度を目測してから，外筒に付いているストッパーの位置を頸管の長さに合わせて変更するとともに，頸管の屈曲度に合わせて外筒を曲げ，頸管の的確な位置に留置してから移植カテーテルを挿入する．
◉移植に伴う子宮内出血の有無は胚の着床に大きく影響する．移植カテーテルの外筒は頸管内に流し込むように挿入する．カテーテルの外筒が挿入困難な場合は，頸管の屈曲度にカテーテル外筒の曲がり具合が合っていないことが原因であるので，決してカテーテル外筒を強引に押し込むような操作は行わない．

参考文献

1）寺元章吉 : 特集・不妊診療のすべて．胚移植法．産婦治療102 : 761─766, 2011

2）斉藤英和，他 : 日本産科婦人科学会平成26年度倫理委員会，登録・調査小委員会報告（2013年度分の体外受精・胚移植等の臨床実施成績および2015年7月における登録施設名）．日産婦会誌67 : 2077─2121, 2015

3）田中　温 : 生殖不妊症における卵管の重要性 : 卵管鏡とGIFT．日本産科婦人科内視鏡学会雑誌31 : 112, 2015

4）長田尚夫 : 実践婦人科腹腔鏡下手術．pp1─396，メジカルビュー社，2009

5）長田尚夫，他 : 体外受精症例における卵管性不妊の取り扱い，特に卵管留症に対する卵管開口術，卵管クリッピングの効果について．日産婦内視鏡会誌23 : 59─65, 2007

6）長田尚夫 : 難治性不妊症に挑む，卵管留水腫による体外受精不成功に対する対応，日本産科婦人科学会生涯研修集プログラム : クリニカルカンファレンス（8）．日産婦会誌 : N─347─351, 2006

7）Alvero R, et al : The presence of blood in the transfer catheter negatively influences outcome at embrio transfer, Human Repro 18 : 1848─1852, 2003

8）Tiras B, et al : Effect of blood and mucus on the success rates of embryo transfers. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol 165 : 239─242, 2012

9）Noyes N, et al : In vitro fertilization outcome relative to embryo transfer difficulty : a novel approach to the forbidding cervix. Fertil Steril 72 : 261─265, 1999

10）Kato O, et al : Transvaginal transmyometrial embrio transfer : the TOWAKO method ; experiences of 104 cases. Fertil Steril 59 : 51─53, 1993

11）寺元章吉 : 移植法の実際．鈴木秋悦，他（編） : ARTラボラトリー─不妊治療の新しい展開のために．244─249，メジカルビュー社，2000

12）寺元章吉 : 胚移植法．産婦治療102 : 761─766, 2011