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増刊号 ─知りたい最新情報がすぐわかる!─不妊・不育症診療パーフェクトガイド 6.生殖補助医療
Q9 顕微授精時の精子の選別法について教えてください
著者: 中山貴弘1
所属機関: 1足立病院生殖内分泌医療センター
ページ範囲:P.288 - P.289
文献購入ページに移動A 顕微授精適応患者の精液所見は,ほぼ正常域にあるものから入念な探索が必要なTESE精子までかなりの幅があり,それに合わせて調整方法も若干変える必要があります.ただ,あまり多くの方法を設定することは意味がなく,むしろ業務の妨げになると思われます.当院では主に運動精子数を基準にして3種類の密度勾配遠心法を用いた精子選別法を行っており(表1),良好な成績が得られています.
円滑な顕微授精操作を可能にするためには,選別時にできる限り精子以外の成分の除去を行うことが重要です.そして処理後の精子はDNAの断片化を防ぐため,気相や温度変化など外部環境への被曝に十分注意し,速やかにICSIに供します.最終的に注入精子を決定するのはICSI用ディッシュ上であるので,スポットのレイアウトの作成方法も成績に影響を及ぼします(別項記載).また,運動精子数が極端に少ない場合では,可及的に多くの胚培養士を動員して良質の精子を時間が許す限り根気強く探し出すことが成績向上につながります.当院では,1症例につき3台のシステムを同時使用して運動精子を検索し,ICSIの効率化を図っています.
なお,後述するIMSI(intracytoplasmic morphological selected sperm injection)1)とhyaluronic binding assay2)については現時点で治療成績が大きく左右される結果は報告されていないため,われわれは両法ともまだ研究段階との見解であり,一般診療への導入を保留しています.
円滑な顕微授精操作を可能にするためには,選別時にできる限り精子以外の成分の除去を行うことが重要です.そして処理後の精子はDNAの断片化を防ぐため,気相や温度変化など外部環境への被曝に十分注意し,速やかにICSIに供します.最終的に注入精子を決定するのはICSI用ディッシュ上であるので,スポットのレイアウトの作成方法も成績に影響を及ぼします(別項記載).また,運動精子数が極端に少ない場合では,可及的に多くの胚培養士を動員して良質の精子を時間が許す限り根気強く探し出すことが成績向上につながります.当院では,1症例につき3台のシステムを同時使用して運動精子を検索し,ICSIの効率化を図っています.
なお,後述するIMSI(intracytoplasmic morphological selected sperm injection)1)とhyaluronic binding assay2)については現時点で治療成績が大きく左右される結果は報告されていないため,われわれは両法ともまだ研究段階との見解であり,一般診療への導入を保留しています.
参考文献
1)Jakab A, et al : Intracytoplasmic sperm injection : a novel selection method for sperm with normal frequency of chromosomal aneuploidies. Fertil Steril 84 : 1665─1673, 2005
2)Huszar G, et al : Hyaluronic acid binding by human sperm indicates cellular maturity, viability, and unreacted acrosomal status. Fertil Steril 79 : 1616─1624, 2003
3)Franco JG, et al : Significance of large nuclear vacuoles in human spermatozoa : implications for ICSI. Reprod Biomed Online 17 : 42─45, 2008
4)Ugajin T, et al : The shape of the sperm midpiece in intracytoplasmic morphologically selected sperm injection relates sperm centrosomal function. J Assist Reprod Genet 27 : 75─81, 2010
5)Sati LG, et al : Persistent histones in mature sperm are associated with DNA fragmentation and affect paternal contribution of sperm : A study of aniline blue staining, fluorescence in situ hybridization(FISH) and DNA nick translation. Fertil Steril 82 : S52, 2004
6)渡邉誠二 : 強拡大下で観察される精子頭部の空胞様構造と染色体異常の関連性.J Mamm Ova Res 25 : 240─245, 2008
7)Watanabe S, et al : An investigation of the potential effect of vacuoles in human sperm on DNA damage using chromosome assay and the TUNEL assay. Hum Reprod 26 : 978─986, 2011
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