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増刊号 ─知りたい最新情報がすぐわかる!─不妊・不育症診療パーフェクトガイド 8.不育症の検査・診断
Q1 不育症カップルの染色体検査の際の遺伝相談のポイントは何でしょうか?
著者: 杉浦真弓1 佐藤剛1 尾崎康彦1
所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科産科婦人科学分野
ページ範囲:P.347 - P.348
文献購入ページに移動転座が判明したら : 転座が原因の場合,他の原因と比較して出産率は低い傾向にありますが,出産可能です.習慣流産を発端として転座が判明した場合,多くは流産となり,不均衡型転座のお子さんが妊娠継続する確率は2.9%程度です.ご心配であれば羊水検査の機会があります.
着床前診断を実施した場合,流産は減少しますが,出産率が上がることはありません.出産に至るまでの期間も変わりません.
着床前診断を選択した場合,流産しない代わりに体外受精を行っても妊娠しない経験をします.体外受精の侵襲,費用負担もあります.
流産したとき : 最も頻度の高い原因がはっきりするので,流産絨毛の染色体検査をお奨めします.16番,22番,21番染色体のトリソミーが見つかることが多いです.16番トリソミーのお子さんは生まれることができないので,寿命をまっとうすることができたのだと思います.異常の場合,お子さんが正常の場合よりも次回の妊娠が成功する確率が高いと思われます.健康保険の適用になりませんが,異常があれば他の検査を割愛することもできます.お子さんの検査から転座もわかります.結局費用がお安くなるかもしれません.
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