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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科70巻4号

2016年04月発行

文献概要

増刊号 ─知りたい最新情報がすぐわかる!─不妊・不育症診療パーフェクトガイド 8.不育症の検査・診断

Q3 血液凝固因子検査の意義は,どのようにとらえればよいでしょうか?

著者: 佐山晴亮1 永松健1

所属機関: 1東京大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.351 - P.353

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A 血液凝固因子検査の異常値を示す疾患のなかで,抗リン脂質抗体症候群(anti-phospholipid syndrome : APS)は反復・習慣流産との関連についてのエビデンスが確立しています.一方でプロテインS欠乏,プロテインC欠乏,アンチトロンビンIII欠乏などの先天性凝固因子欠乏症が流産のリスク因子であるかについては議論の余地があります.

 APSに対しては,低用量アスピリン療法(LDA)+ヘパリン療法による流産の抑制効果が示されている一方で,先天性血栓性素因に対しての抗血小板療法,抗凝固療法による流産リスク低減に関する有効性は確認されていません.しかし,それらの血栓性素因を有する妊娠女性に対しては不育症という側面だけではなく,深部静脈血栓症のハイリスク群であるという認識をもって周産期管理を行うことが重要です.また,APS,先天性凝固因子欠乏症のいずれもpreeclampsia(PE)やfetal growth restriction(FGR)などの胎盤形成不全に伴う周産期合併症の原因となる可能性が指摘されていることも知っておく必要があります.

参考文献

1)Middeldorp S : Anticoagulation in pregnancy complications. Hematology Am Soc Hematol Educ Program 2014 : 393─399, 2014
2)齋藤 滋,他 : 「不育症に関する再評価と新たなる治療法の開発に関する研究」平成22年度厚生労働科学研究費補助金総括研究報告書.2010
3)Hoppe B, et al : Heparin or aspirin or both in the treatment of recurrent abortions in women with antiphospholipid antibody(syndrome). Curr Opin Rheumatol 23 : 299─304, 2011
4)Lockwood CJ, et al : Inherited thrombophilias in pregnant patients : detection and treatment paradigm. Obstet Gynecol 99 : 913─916, 2002
5)Rambaldi MP, et al : Inherited and acquired thrombophilias. Reprod Sci 21 : 167─182, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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