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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科71巻11号

2017年11月発行

雑誌目次

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

著者:

ページ範囲:P.1023 - P.1023

婦人科腫瘍

遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)診療の最前線─①HBOCの基礎知識

著者: 西野幸治 ,   関根正幸 ,   榎本隆之

ページ範囲:P.1024 - P.1029

●遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)は,乳がんの約5%,卵巣がんの約10〜15%を占め,決して珍しい疾患ではない.

●適切な拾い上げ〜カウンセリング〜BRCA検査によりHBOCを診断することは,HBOC患者・家系員に対するサーベイランスや予防手術の提供を可能とする.

●HBOC卵巣がんは進行期の高異型度漿液性癌が多いが,プラチナ感受性が高く予後が良い傾向にあり,PARP阻害薬の効果が期待できる.

●PARP阻害薬の使用も視野に入れ,HBOCに対するカウンセリングやBRCA検査を行える体制,もしくは検査可能な近隣施設との連携体制を整える必要がある.

遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)診療の最前線─②HBOC診療での遺伝カウンセリング

著者: 吉田玲子 ,   新井正美

ページ範囲:P.1031 - P.1037

●がん治療のコンパニオン診断としてBRCA遺伝学的検査が施行される時代となった.

●遺伝性腫瘍の遺伝学的検査として今後multi-gene panel検査が主流となるだろう.

卵巣がんのゲノム解析と分子標的治療

著者: 織田克利

ページ範囲:P.1038 - P.1043

●分子標的治療薬では感受性を予測するバイオマーカーが重要である.

●DNA修復にかかわる特定の遺伝子(BRCA1/2やミスマッチ修復遺伝子など)の生殖細胞系変異は,分子標的治療薬のバイオマーカーとなりうる.

●PARP阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬は,今後の臨床応用が期待される分子標的治療薬である.

生殖医療

着床前遺伝子診断(PGD)の世界の現状

著者: 佐藤卓 ,   佐藤健二 ,   末岡浩

ページ範囲:P.1044 - P.1051

●単一遺伝子病に対する着床前遺伝子診断(PGD)は,欧米においてはすでに確立された医療サービスと見なされている.さらに新しい技術の導入により,近年は幅広い疾患や目的の異なるPGDに対するall in oneの診断システムの開発が進んでいる.

●わが国におけるPGDは,臨床研究としての実施が義務づけられるなど,今なお限定的な状況にある.

着床前胚スクリーニング(PGS)の世界の動向

著者: 吉田淳

ページ範囲:P.1052 - P.1059

●世界では,①女性の高年齢,②反復流産,③着床障害,④重度の男性不妊,⑤卵巣機能低下,⑥抗がん剤や放射線療法などのがん治療後,⑦染色体異常の妊娠の既往などがPGSの対象とされている.

●胚の染色体を調べるための材料は,分割期胚の割球ではなく,胚盤胞のtrophectoderm(胎盤になる部分の細胞)が使用されることが多くなった.

●分析法はaCGH(array comparative genomic hybridization)法から,next generation sequencing(NGS)が主流となった.

生殖医療で求められる遺伝カウンセリング

著者: 田村智英子

ページ範囲:P.1060 - P.1065

●生殖医療における遺伝カウンセリングの担当者には,幅広い知識が求められる.

●最新で正確な情報を整理して提供することは,大きな心理支援となる.

●生殖医療と遺伝医療の専門家の連携が有意義.

周産期医療

胎児期の環境とエピゲノムの変容

著者: 伊東宏晃

ページ範囲:P.1066 - P.1071

●発達期の環境の変化が,成長後の生活習慣病の発症リスクに影響を及ぼすというdevelopmental origins of health and diseases(DOHaD)学説が提唱されている.

●ゲノムに施されたゲノム以外の情報であるエピゲノムならびに環境因子によるエピゲノムの変容がDOHaD学説の具体的なメカニズムとして注目されている.

●エピゲノムの変容として,DNAのメチル化,クロマチンのリモデリング,non-coding RNA,エピジェネティックな不均等性(asymmetry)などが知られている.

NIPTの世界の動向と問題点

著者: 和泉美希子 ,   関沢明彦

ページ範囲:P.1073 - P.1078

●NIPTは臨床検査として世界的に普及しているが,どのように行われているかはそれぞれの国の関連学会の指針や医療政策・診療体制によって異なる.

●NIPTの検査手法上の限界は,母体血漿中に含まれるのは胎盤由来cfDNAであること,またcfDNAを胎盤由来と母体由来に物理的に分離して解析できないことに由来する.

●NIPTによって胎児染色体の異数性のみならず微細構造異常の検出も可能で,さらに単一遺伝性疾患を検索する手法・アルゴリズムの開発が進んでいる.

胎児構造異常におけるゲノム解析の最前線

著者: 井本逸勢

ページ範囲:P.1079 - P.1083

●胎児構造異常から遺伝的背景をもつ先天異常症が疑われる場合には,胎児DNAを対象にした網羅的ゲノム解析により原因が同定できる可能性がある.

●網羅的ゲノム解析にはマイクロアレイ染色体検査や次世代シーケンス解析が用いられるが,これら解析技術の胎児ゲノム解析での特性や限界を理解して実施する.

●網羅的解析では解析目的以外の二次的所見が得られることがあり,疾患や検査に関し十分な遺伝カウンセリングを行ったうえ,インフォームド・コンセントを得て実施する.

周産期医療における遺伝カウンセリングの要点

著者: 西山深雪

ページ範囲:P.1084 - P.1091

●染色体異常を対象とした出生前遺伝学的検査には複数の選択肢があり,クライアントが各検査を理解して納得した選択ができるよう,正確な情報提供と意思決定の支援が求められる.

●出生前遺伝学的検査は,望まない結果であった際のことをクライアントが事前に考えておく必要のある検査である.

●胎児染色体異常が診断された場合,産婦人科医のみで遺伝カウンセリングを行うことは困難であり,小児科医など他領域の医師や認定遺伝カウンセラーと連携して行う.

連載 FOCUS

緊急帝王切開の30分ルールを達成するためのポイント

著者: 大門篤史 ,   藤田太輔 ,   寺井義人 ,   大道正英

ページ範囲:P.1093 - P.1097

はじめに

 超緊急帝王切開の定義に明確なものはないが,子宮破裂,常位胎盤早期剝離,臍帯脱出,胎児徐脈など母児の生命に危険が切迫していると判断した場合に行われる帝王切開のことである.

 2010年に厚生労働省より提出された周産期医療体制整備指針では,「地域周産期母子医療センターは,帝王切開が必要な場合に迅速(おおむね30分以内)に手術への対応が可能となるような医師(麻酔科医を含む)およびその他の各種職員の配置が望ましい」とされており1),当院でも超緊急帝王切開時は,30分以内の児娩出を目標にしている.超緊急帝王切開術の円滑な遂行には各部署間の連携協力が必須であり,産科医・麻酔科医のみならず,新生児科医や産科病棟・手術室・NICUスタッフの協力が不可欠である.

教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール

経腟分娩後にDIC型後産期出血および子宮動脈の破綻をきたした症例─産科危機的出血の原因,IVRの適応について

著者: 山田恭子 ,   藤本俊郎

ページ範囲:P.1098 - P.1101

はじめに

 分娩時に母体生命を脅かす大量出血は妊産婦300人に1人の割合で発症する.2010年に「産科危機的出血の対応ガイドライン」が策定され,2017年に「産科危機的出血の治療指針2017」として改定された.産科危機的出血宣言後,RCC/FFPを投与開始し,出血の原因検索・子宮圧迫縫合・interventional radiology(IVR)・子宮摘出などを検討するプロトコールになっている.しかしながら,急速に進行したDIC発症後の原因検索は容易ではないことも多い.

 今回,「弛緩出血および子宮頸管裂傷」の診断で一次施設から搬送となり,最終的に子宮動脈塞栓術が必要であった症例を経験したので,産科危機的出血に対するIVRの適応と併せて報告する.

Estrogen Series・165

精管結紮術

著者: 矢沢珪二郎

ページ範囲:P.1103 - P.1103

 テネシー州のホワイト郡では,郡内の刑務所で刑期を務める囚人たちに,避妊手術と交換に,刑期を軽減することを提案した.

 男性囚人には精管結紮術を,女性囚人には避妊手術あるいは避妊用インプラントであるNexpranonの皮下挿入と交換に,刑期を軽減することにした.この措置による刑期の軽減は,男女ともに30日であった.

Obstetric News

子宮頸管長全例スクリーニングの効果と問題点(1)

著者: 武久徹

ページ範囲:P.1104 - P.1106

 3回に分けて,妊娠中の経腟超音波による子宮頸管長(TVU CL)全例スクリーニングの有益な効果と問題点を取り上げる.

臨床経験

産後2週間ごろの母親の悩み等に関する検討─周産期メンタルヘルスの視点から

著者: 鈴木俊治

ページ範囲:P.1107 - P.1111

▶要約

 当院で1か月健診を受けた母親に,産褥2週間ごろに「悩んだり,いらいらしたりした」ことの理由についてアンケート調査を行ったところ,過去の報告と違って授乳以外の問題が多かった.また,約20%の母親は「孤独感」や「理由のわからないこと」で「悩んだり,いらいらしたりした」と回答していたことから,この時期から精神科医等の介入が必要な母親が少なからずいることが示唆された.

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読者アンケートのお願い

ページ範囲:P.1115 - P.1115

バックナンバー

ページ範囲:P.1117 - P.1117

次号予告・奥付

ページ範囲:P.1118 - P.1118

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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バックナンバー

76巻12号(2022年12月発行)

今月の臨床 帝王切開分娩のすべて―この1冊でわかるNew Normal Standard

76巻11号(2022年11月発行)

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今月の臨床 HPVワクチン勧奨再開―いま知りたいことのすべて

76巻7号(2022年7月発行)

今月の臨床 子宮内膜症の最新知識―この1冊で重要ポイントを網羅する

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73巻11号(2019年11月発行)

今月の臨床 基本手術手技の習得・指導ガイダンス―専攻医修了要件をどのように満たすか?〈特別付録web動画〉

73巻10号(2019年10月発行)

今月の臨床 進化する子宮筋腫診療―診断から最新治療・合併症まで

73巻9号(2019年9月発行)

今月の臨床 産科危機的出血のベストマネジメント―知っておくべき最新の対応策

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今月の臨床 産婦人科で漢方を使いこなす!―漢方診療の新しい潮流をふまえて

73巻7号(2019年7月発行)

今月の臨床 卵巣刺激・排卵誘発のすべて―どんな症例に,どのように行うのか

73巻6号(2019年6月発行)

今月の臨床 多胎管理のここがポイント―TTTSとその周辺

73巻5号(2019年5月発行)

今月の臨床 妊婦の腫瘍性疾患の管理―見つけたらどう対応するか

73巻4号(2019年4月発行)

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73巻3号(2019年4月発行)

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今月の臨床 NIPT新時代の幕開け―検査の実際と将来展望

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72巻9号(2018年9月発行)

今月の臨床 症例検討会で突っ込まれないための“実践的”婦人科画像の読み方

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今月の臨床 スペシャリストに聞く 産婦人科でのアレルギー対応法

72巻7号(2018年7月発行)

今月の臨床 完全マスター! 妊娠高血圧症候群─PIHからHDPへ

72巻6号(2018年6月発行)

今月の臨床 がん免疫療法の新展開─「知らない」ではすまない今のトレンド

72巻5号(2018年5月発行)

今月の臨床 精子・卵子保存法の現在─「産む」選択肢をあきらめないために

72巻4号(2018年4月発行)

増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド─いまのトレンドを逃さずチェック!

72巻3号(2018年4月発行)

今月の臨床 ここが知りたい! 早産の予知・予防の最前線

72巻2号(2018年3月発行)

今月の臨床 ホルモン補充療法ベストプラクティス─いつから始める? いつまで続ける? 何に注意する?

72巻1号(2018年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 産婦人科感染症の診断・管理─その秘訣とピットフォール

71巻12号(2017年12月発行)

今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識

71巻11号(2017年11月発行)

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

71巻10号(2017年10月発行)

今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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