文献詳細
今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識
生殖医療にかかわる法的問題
文献概要
●わが国では,法律上の母子関係は「分娩行為」を基準として決定される.それゆえ,凍結保存された配偶子や胚を用いることができるのは,子を懐胎し出産することが可能な女性に限られる.
●日本産科婦人科学会の「会告」の内容には,次のような問題がある.
①凍結保存された配偶子や胚を用いることができる者に関し,「夫婦」に限定せず,配偶者をもたない女性を含めるべきである.
②子の出産のために用いられる卵子や胚に関し,子を懐胎し出産する女性に由来するものに限定せず,他人由来の卵子や胚を含めるべきである.
③提供精子を用いた人工授精(AID)を行うことを認める以上,法律上の父子関係を「遺伝的なつながり」から切り離す法制度が必要であるうえ,併せて実施した医師を保護するうえで十分な手当てを行うべきである.
●日本産科婦人科学会の「会告」の内容には,次のような問題がある.
①凍結保存された配偶子や胚を用いることができる者に関し,「夫婦」に限定せず,配偶者をもたない女性を含めるべきである.
②子の出産のために用いられる卵子や胚に関し,子を懐胎し出産する女性に由来するものに限定せず,他人由来の卵子や胚を含めるべきである.
③提供精子を用いた人工授精(AID)を行うことを認める以上,法律上の父子関係を「遺伝的なつながり」から切り離す法制度が必要であるうえ,併せて実施した医師を保護するうえで十分な手当てを行うべきである.
参考文献
1)植木 哲 : 医療の法律学.有斐閣,1998
2)石原 明 : 法と生命倫理20講.日本評論社,2000
3)橳島次郎 : 先端医療のルール 人体利用はどこまで許されるのか.講談社,2001
4)ジャン=ピエール・ボー(野上博義 訳) : 盗まれた手の事件肉体の法制史.法政大学出版局,2004
5)樋口範雄 : 続・医療と法を考える 終末期医療ガイドライン.有斐閣,2008
6)甲斐克則 : ポストゲノム社会と医事法医療法講座第1巻.信山社,2009
7)小門 穂 : フランスの生命倫理法生殖医療の用いられ方.ナカニシヤ出版,2015
8)樋口範雄 : ケース・スタディ生命倫理と法.ジュリスト(増刊) : 40─56,2004
9)甲斐克則,他 : 医事法判例百選[第2版]別冊ジュリスト219 : 79(水野紀子),186─187(中村 恵),188─189(石井美智子),2014
10)青野洋士 : 最高裁判所判例解説民事篇平成18年度(下).法曹会 : 936─984,2009
11)土谷裕子,他 : 最高裁判所判例解説民事篇平成19年度(上).法曹会 : 259─288,2010
宗像 雄 : 生殖細胞の保存と利用をめぐる法律上の問題点.産婦の実際59 : 2147─2158,2010
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